98年以降のW杯・アジア杯で最低の数字…遠藤航が明かす支配率わずか23.7%の背景とそれでも焦らなかったワケ

2019年01月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

「勝つために相手にボールを持たせることも戦術」(遠藤)

相手に攻め込まれる展開でも遠藤は動じず。中盤の底で身体を張った守備を見せて勝利に貢献した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[アジアカップ・決勝トーナメント1回戦]日本 1-0 サウジアラビア/1月21日/シャルジャ・スタジアム

 ポールポゼッション率は23.7パーセント。データを集計しているOPTAの公式ツイッターによると、1998年以降に日本が参加した主要国際大会(ワールドカップ、アジアカップ)の中で最もボール支配率が低い試合だったという。

 1月21日、日本はアジアカップの決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアに1-0で辛勝。終始、相手の猛攻に晒されたが、前半20分にCKから冨安健洋が奪ったゴールを最後まで守り切った。

 世界の強豪国と戦う場合、時として主導権を握られ続ける試合は往々にしてある。ただ、アジアの戦いでこれだけ攻め込まれるのは、実に珍しい展開だった。

 なぜ、サウジアラビア戦ではこれほどまでにボール支配を許し、主導権を奪い取れなかったのか。その理由について遠藤が試合後に口を開いた。

 ボランチの底で奮戦した背番号6は、チームとして相手にボールを握らせる予定ではなかったと説明した。
 
「立ち上がりは自分たちもプレッシャーをかけて、いい位置でボールを奪って、『自分たちが主導権を握れるような戦いをしたい』というのが理想だったんですけど、ちょっとハマらなかったというか、(サウジアラビアの)アンカーが落ちたりして、相手のポジショニングも上手かったり、シャドーもサイドバックの脇に落ちてプレッシャーに行きにくいポジションを取っていた。なので、ブロックを敷く展開になりましたね」
 
 当然、タイミングを見計らって押し返す考えは頭にあった。だが、その後のゲームプランを明確にしたのは20分に奪った先制点だ。

「やっぱり良い時間に1点を取れたので、それがブロックを敷くという判断になった」(遠藤)

 サウジアラビアのペースは後半になっても変わらなかったが、遠藤は割り切っていたからこそ焦らなかったという。

「大事なのはボランチふたりの裏を取られないこと。僕らの前でボールを動かさせているのは全然問題ないっていう話はハーフタイムにしていたし、やっていてもそう思っていた。なので、前の選手はやっぱりキツかったと思いますけど、でも、そこから出ていく力はある選手たちだと思っていますし、比較的イメージどおりの戦い方をしていたかなって思います」

 稀に見るボールポゼッション率の低さ――。それでもピッチに立つ選手は冷静に試合の流れを読んでいた。「自分たちがボールを持って戦わなければいけないみたいなプライドはないというか、勝つために相手にボールを持たせることも戦術」と遠藤。したたかにゲームを進める術がなければ、日本は勝利を引き寄せられなかったかもしれない。

【日本代表PHOTO】日本1-0サウジアラビア|アジア杯決勝T1回戦、負けたら終わりの一発勝負! 冨安の大会最年少ゴールで日本がベスト8進出
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