一部の愚かなサポーターのために、スコットランドに住む12歳のインテル・ファンの夢が台無しに…

2019年01月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

観戦不可で「慰めようもない」落胆。

コッパ・イタリア5回戦のインテル対ベネベント戦は、予定通り無観客で行なわれた。(C)Getty Images

 インテルは昨年12月26日のナポリ戦で、カリドゥ・クリバリに対する観客からの人種差別チャントがあったとして、2試合のホーム無観客試合処分を科された。1月13日のコッパ・イタリア5回戦に続き、19日のサッスオーロ戦でもスタジアムに観客を入れることができない。

 この処分により、国外にいる小さなインテル・サポーターが悲しむことになってしまったようだ。イタリア紙『Gazzetta dello Sport』によると、スコットランドに住む12歳のマックスくんが、楽しみにしていた観戦旅行を台無しにされてしまったのである。

 父親のロスさんによると、マックスくんはジョゼ・モウリーニョ監督の影響でインテリスタになったという。2010年にモウリーニョの下でインテルが3冠を達成した時はまだ小さかったが、次第にモウリーニョのファンとなり、スコットランドにいながらインテルを応援するようになった。

 そんなマックスくんのために、ロスさんはとっておきの誕生日プレゼントを用意した。週末に家族でミラノ旅行に出かけ、サン・シーロでサッスオーロ戦を観戦するという計画だ。試合のチケット、飛行機、ホテルと確保し、準備はすべて整った…はずだった。
 
 マックスくんが興奮していたのは言うまでもないだろう。だが、前述の処分により、親子はサン・シーロで試合を観ることができなくなってしまったのだ。

 ロスさんは「出発を楽しみにしていたのに、今は慰めようもないほどだ。何があったか説明したが、かわいそうに、泣き出してしまったよ。今でも理解できず、あきらめられていないんだ」と明かす。

 処分を受けたインテルは、観客の代わりに地元のサッカースクールなどの子どもたちを入場させたいと要請し、認められた。それを知ったロスさんは「マックスも両親とスタジアムに行けないものか?」と訴えるが、『Gazzetta dello Sport』紙は「残念ながらできない」と報じている。

 息子のために、どうにかできないものか――ロスさんは、フェイスブックのインテル公式ページに事情を説明して助けを求め、さらにはインテルや一部のファンクラブにメールを送ったそうだ。

「あるサポーターの人は、私が"ミッション"を達成できなかったら、家族全員を自宅に招待すると申し出てくれたが…」

 マックスくんの夢をかなえたいというロスさんの悲痛な叫びが、インテルやイタリアサッカー界の上層部に届くかどうかは分からない。確かなのは、一部の愚か者のために、サッカーを愛する純粋なファンが悲しい思いをしているという事実だ。
 
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