【選手権】1回戦敗退の桐光学園・西川潤の分まで――。友の想いを背負う流経大柏の俊英ボランチが決勝弾!

2019年01月06日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

西川と出会ったのは小学校5年生。以降は親交を深め、切磋琢磨してきた

桐光学園の西川(右)とかつて同じスクールに通っていた流経大柏の八木(左)は、旧友のためにも日本一を目指す。写真:早草紀子、徳原隆元

[高校選手権・準々決勝]秋田商0-1流経大柏/1月5日/フクアリ

 またしても開始早々だった。流経大柏は得意のセットプレーからゴールをこじ開けた。前半6分、熊澤和希(3年)が左サイドからゴール前にロングスローを入れると、2年生ボランチの八木滉史がこぼれ球を押し込んだ。前半10分までのゴールは2試合連続。まさに電光石火の一撃で自分たちのペースに引き込む。以降も手綱を緩めず、最後まで八木のゴールを守り切った流経大柏が秋田商を下して準決勝へと駒を進めた。
 
 流経大柏らしい手堅い試合運びで勝利を収めたなかで、存在感を示したのが2年生ボランチの八木だ。危険な場所に顔を出してピンチの芽を摘み、隙あらば前線に飛び出して攻撃に関与。先制点も彼の良さが発揮された場面だった。

 熊澤が一撃必殺のロングスローをゴール前に送ると、目の前に流れてきたボールを冷静に押し込んだ。こぼれ球に即座に反応できるのは天性の武器だろう。

 J1鹿島入団の関川郁万(3年)も「滉史が自分の前でプレーをしているけど、いいバランスでやってくれている。自分は何も言うことはない」と称賛。中学時代に所属していたFC多摩の後輩でもある八木のパフォーマンスに高い評価を惜しまない。

 攻守で存在感を発揮した八木だが、今大会では旧友の想いとともに戦っているという。それが桐光学園の西川潤(2年)だ。「大会前にお互い頑張ろうと話していたので残念」と心の内を明かした背番号18と、神奈川の名門校で10番背負う逸材との出会いは小学校5年生の時だった。
 
「小学校の5、6年の時はマリノスのスペシャルクラスに通っていて、そこで仲良くなりました」
 
 横浜のスクールでともにプレーしたのはわずか2年だが、その後も関係は続いていた。互いに別々の道を歩むなかで、頻繁に連絡を取って近況を報告。「エールを送ったり、言葉を掛けたり、お互いの状況を報告したりしていたことが力になっていた」と、八木は西川から様々な刺激を受けてきた。

 今大会前にも言葉を交わしていたが、西川の所属する桐光学園は1回戦で敗退。「本当に桐光学園とやりたかった」と、ピッチで再会する約束は実現しなかった。だからこそ、八木には日本一を掴み取るべき理由がある。かつての仲間の想いを背負い、流経大柏の2年生ボランチは12日の準決勝に挑む。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)
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