【選手権】「あんな選手は三浦淳宏以来」3回戦敗退も、名将・小嶺監督が賞賛! 長崎総科大附のキャプテンを務めた男とは

2019年01月05日 熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)

湘南ベルマーレに入団が内定している

長距離をドリブルで駆け上がり、先制点を叩き込んだ鈴木。プロ入りが決まっている将来有望株は、小嶺監督のお墨付きだ。 写真:早草紀子

[高校選手権・3回戦]帝京長岡 2-1 長崎総科大附/1月3日/浦和駒場

 第97回全国高校サッカー選手権の3回戦、73歳の小嶺忠敏監督が率いた長崎県代表、長崎総科大附は新潟県代表の帝京長岡と対戦し、1-2で敗れた。これまでに国見高校、島原商業といった長崎県の高校を選手権出場、そして優勝させた名将にとって今年の選手権について訊くと、「ここまでよくぞ来たという気持ち。選手たちはよくやってくれた」と労った。

 先制しながらも、帝京長岡に逆転を許した。指揮官は「交代を考えている間に失点してしまった」と自らの采配を悔やんだ。試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、えんじと黄ストライプのユニホームを着た選手が何人も肩を落とした。そんななか、空を仰いでいた選手がいた。前半20分に先制点を決めた、背番号18番の鈴木冬一だ。

 鈴木は、1年前までセレッソ大阪の下部組織に所属していた。活躍し、年代別日本代表に選出されるなど、将来を嘱望される存在だった。だが18年3月に退団し、長崎総科大附に転入。「小嶺先生の指導を受けたい」という思いが強かったという。
 若くして簡単ではない決断をし、新たな世界へ飛び込んだ。「この決断は間違ってなかった」と語った鈴木は、この1年間、名将の厳しい指導のもと、規則正しい生活や礼儀が身につくなど、人間的な成長を感じることができたそうだ。

「チームのためにプレーする犠牲心だとか、いろんなことに対応する力が付いたと思います。(転入は)これからの人生で無駄にはならないだろうと感じた体験でした。今日の悔しさも含めて、今後のキャリアに生かしていきたい。仲間と、小嶺監督には感謝しかありません」(鈴木)

 試合後、試合については言葉少なだった小嶺監督だが、鈴木については饒舌だった。練習に真面目に取り組む姿勢や、自分を鍛えてほしいと思って飛び込んできたことなど、「素晴らしい」と褒め称えた。

「練習だってストレッチだって誰よりも早く取り組む。試合でも分かるでしょう、球際も諦めずに追い、取られたら取り返す。ボールを持った時のスピードもある。あんな選手は過去に指導したなかでも、三浦淳宏ぐらいかもしれない」(小嶺監督)

 鈴木は、湘南ベルマーレへの入団が内定している。「今のままいけば、彼はすごく良い選手になりますよ」。数々のプロ選手を育て、Jに送り込んできた名将は背番号「18」を背負った教え子の将来を力強く保証した。


取材・文●熊 介子(サッカーダイジェストWeb編集部)
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