【選手権】みちのく勢3チームが8強入り! 東北の高校・Jユースがレベルアップした背景は?

2019年01月04日 小林健志

青森山田、尚志、秋田商、それぞれの躍進の背景は?

8強に進出した東北勢3チーム。左から秋田商、青森山田、尚志。写真:田中研治、金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)、加藤澄人

 第97回全国高校サッカー選手権大会は3回戦まで終了し、8強が出揃った。注目は東北勢の躍進。前々回大会優勝の青森山田、7大会ぶりのベスト4進出を狙う尚志、そして32大会ぶりのベスト8進出を果たした秋田商の3校が残り、みちのく旋風が大会で吹き荒れている。
 
 東北勢とひとくくりにはしているが、3チームにはそれぞれ躍進の理由が見られる。青森山田は数年前から各種大会で全国優勝を経験。今大会も優勝候補のひとつに挙げられる存在だ。2018年度は、インターハイで3回戦敗退、プレミアリーグEASTも優勝争いを演じながら2位に終わったことで、選手権のタイトルはなんとしてでも獲りたいところ。J1札幌加入内定の主将MF檀崎竜孔(3年)やJ2福岡加入内定のDF三國ケネディエブス(3年)ら豊富なタレントを活かし、ここまで順当に勝ち進んでいると言って良いだろう。
 
 尚志はここ数年プリンスリーグ東北では常に優勝争いを演じてきた東北の雄で、2018年度は3年ぶりにプリンス東北で優勝。そして12月14~16日に行われたプレミアリーグプレーオフでJFAアカデミー福島U-18、横浜F・マリノスユースといった強豪チームを倒してプレミア参入を果たした。「選手権に向けて一度チームを落ち着かせなければ」とプレミア参入決定後に仲村浩二監督は語っていたが、結果的には強豪相手に勝てた経験がプラスに働いたようで、今大会も東福岡、前橋育英といった強豪にもまったく物怖じせず戦い、勝利を掴み取っている。プレミアリーグプレーオフでも選手権でも大活躍を見せているU-17日本代表FWの染野唯月(2年)は高卒でのJリーグ入りも見えてきた。
 
 秋田商は2018年度に5年ぶりにプリンスリーグ東北に復帰し、昨年までの県リーグよりも厳しい試合経験を積めたことが大きい。残留争いに巻き込まれることなく6位でリーグ残留を決めたことも大きな自信となった。秋田県内のレベルアップも顕著で、今の3年生の代は新人大会、インターハイ県予選で新屋に敗れている。「秋田では今年は新屋も良い選手が多く強かったです。3回戦・龍谷戦のハーフタイムには『お前たちは強い相手とも戦って来たじゃないか。新屋戦を思い出せ』と言うことができました」と小林克監督が語った通り、県内のライバルも力をつけ、切磋琢磨できたこともプラスに働いた。ブラウブリッツ秋田U-15がコンスタントに全国大会に出場したことで、FCあきたASPRIDEや秋田ロクFCなど県内の中学年代クラブの力も相乗効果でレベルアップし、技術水準の高い選手が急増したのも大きい。

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