【選手権】明秀日立の“カゼミーロ”がいぶし銀の働き!中盤の底に君臨する成島茉宏の原点は鹿島で培った“ジーコスピリット”にあり

2019年01月01日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

球際で激しいバトルを繰り広げた成島の原点は鹿島つくばJrユース時代の…

鹿島で学んだのはサッカー面だけではない。私生活でも周囲から高い評価を得ており、学校では生徒会長を務めるほどの人望がある。写真:塚本凜平

 昨冬の選手権で8強入りを果たした明秀日立を初戦突破に導いたのは、鹿島育ちのボランチだ。
 
 12月31日、高校サッカー選手権の1回戦で明秀日立は大阪学院大高と対戦。序盤から一進一退の攻防が繰り広げられ、どちらが均衡を破ってもおかしくない状況だった。それでも、前半25分に津山夢人(3年)が放ったシュートのこぼれ球に反応し、二瓶優大(3年)が値千金の先制弾。以降は相手に押し込まれる場面も増えたが、試合を通じて堅守を維持した。

 とりわけ、その中核を担ったのは、成島茉宏(3年)だ。中盤の底でことごとく相手を潰し、ピンチを招く前にボールを奪取。こぼれ球に対する反応も迅速で、味方が空けたスペースも的確な状況判断で埋める。その姿はまさにレアル・マドリーでも活躍するカゼミーロ。ブラジル代表にも名を連ねる闘犬を彷彿させた背番号6の働きが、1-0で勝利を収める原動力となったのだ。
 
 決して目立つわけではない。いぶし銀の働きで抜群の貢献度を誇る成島は「高嶋と並んでうちの大黒柱」と監督からも称賛を受け、改めて能力の高さを証明して見せた。今でこそボランチを主戦場にしている成島が、鹿島つくばJrユース時代に本職としていたのはFW。その中学時代に対戦した経験もあるチームメイトの高嶋修也(3年)も「今とプレースタイルは近くて、パワフルでゴリゴリ来る選手だった」と話し、ポジションは違えども当時から球際の強さと献身性に定評がある選手だった。
 
 そうしたスタイルを今も失っていないのは、「献身・誠実・尊重」を重視する元ブラジル代表のジーコ氏が提言した"ジーコスピリット"を中学時代に叩き込まれたからだ。

「鹿島で教わったことは大事にしている。中学の頃から積みあげてきたものがある。それを高校に入ってもやってきたし、同じことを求められてきた」(成島)

 また、鹿島時代にはブラジル遠征も経験。
「向こうの選手は自分と同年代の選手でも人生をかけてサッカーをしていた。そういう取り組み方が試合で差になって出ると感じました」と、命懸けでサッカーをしている姿も成島に大きな影響を与えた。
 
 高校入学後もしばらくはFWを務めていたなかで、高校1年の途中からスタッフの提案でボランチに転向。以降はこのポジションが定位置となった。結果的にこのコンバートで才能が開花したが、鹿島で過ごした日々が原点にある。潰し屋として確かな存在感を見せた成島は、星稜との2回戦も中盤の要人としてチームの勝利に貢献する。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)

【選手権PHOTO】明秀日立 1-0 大阪学院|昨年ベスト8の明秀日立、二瓶のスライディングシュートで初戦突破
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