2019年のブレイクが期待できるJリーグのヤングスター5選

2018年12月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

レアル・マドリー戦で衝撃を受けた安部は意識も変わったはず

鹿島の安部(中央)、磐田の小川(右から2番目)は現所属クラブ、汰木(左)、岩崎(左から2番目)、初瀬(右)は移籍先での飛躍が期待される。

 安部裕葵はすでに鹿島の主力だが、2019年シーズンは飛躍の年になる。2018年シーズンは22試合・2得点と、数字的にはもうひとつだった。だが、クラブW杯のレアル・マドリー戦でのドリブルなど、世界に通用する部分も見せた。あのプレーひとつだけでも今後に可能性を感じた。ただ、集中している時の高い攻撃力は非常に魅力的だが、試合途中で消えてしまうことがある。試合の中でも、シーズンの中でも調子にムラがあるが、それは主力としての意識を持って戦えばムラを小さくしていける。幸いレアル・マドリー戦でプロとしてのレベルの高さに衝撃を受け、意識も変わったはず。世界を意識したプレーで、夏には海外に飛び出すぐらいの活躍を見せてほしい。
 
 岩崎悠人の札幌移籍は、最良の選択をしたと思われる。京都では試合にこそ出ていたが、33試合・1得点と個人的にはパっとせず、チームもJ2で19位に沈んだ。ただ、全体練習後、コーチといろんなパターンのシュート練習をこなすなど、レベルアップへの意欲は高く、技術を磨いていた。若くてスピードがあり、向上心が強く、技術レベルが高い。ペトロヴィッチ監督の好きなタイプで、退団した三好康児がいた右サイドハーフのポジションに入るだろう。ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)のサッカーにフィットはできるだろうが、どのくらい早くチームに馴染むことができるか。自らの殻を打ち破ることができれば、東京五輪を戦う代表でのポジション争いでも優位になり、恐ろしい成長を遂げることができるはずだ。
 
 小川航基は、同期の堂安律の活躍に刺激を受け、自分もレギュラー獲得に意欲的だった。しかし、これまで怪我もあってブレイクできず、名波浩監督の望む守備面やFWとしての総合力が足りず、なかなかレギュラーに定着しなかった。それでもJ1参入プレーオフの東京ヴェルディ戦で値千金のPKを決めるなど、もっているところを見せた。足りないのは、まずは試合経験。名波監督の信頼はまだ十分に得られているわけではないが、もっているセンスは高い。ブレイクして、堂安と肩を並べることができるか。
 
 初瀬亮は非常にポジティブな決断をした。G大阪では、守備面での粗さを指摘され、なかなかレギュラー獲得に至らなかった。初瀬自身としては守備に力を割くよりも攻撃力で相手を封印したい考えで、それは神戸が目指すバルセロナスタイルにも通じるところがある。実際、攻撃力が非常に高く、性格は勝気でアグレッシブ。神戸でイニエスタや山口蛍など周囲のレベルの高い選手に上手く使われ、使うことでさらに攻撃力が磨かれていくだろう。初瀬にとっては大きくレベルアップできるための挑戦になる。
 
 汰木康也の浦和加入は楽しみしかない。天皇杯準決勝の仙台戦では80メートルのドリブルを見せるなど、単独突破ができる浦和にはいないタイプ。シュートも含めて決定力が課題だが、ドリブルで攻撃を活性化してくれるだろうし、技術の高い選手の中でプレーすることで汰木自身のプレーの幅も広がるだろう。山形では31試合・2得点だが、ほとんどが途中出場。浦和でレギュラーを掴むのは簡単ではないが常時出場を実現すれば、大化けする可能性がある。
 
文●佐藤俊(スポーツライター)
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