【磐田】最後に響いた「-13」…名波ジュビロの足かせとなった大量失点の記憶

2018年12月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

リーグ中断前は8位。状況は決して悪くなかったのだが…

終了間際に痛恨の失点。櫻内を入れて守備固めを図ったが、功を奏さなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ34節]川崎2-1磐田/12月1日/等々力 

 まさかの幕切れだった。81分にFW大久保嘉人が初の古巣戦で10戦ぶりに得点。名波監督はガッツポーズし、ベンチメンバーも大久保の元に駆け寄った。残り時間で2失点しなければ、他会場の結果関係なく、残留が決定する。大団円を迎える準備は整った。
 
 だが、86分。大久保をベンチに下げた直後、セットプレーから1点を返されてしまう。これ以上の失点を避けるべく、後半のアディショナルタイムには櫻内渚を投入し、守備を厚くした。

 残りは30秒。櫻内のスローインは脚を引きずる川又へ。だが、負傷明けの川又堅碁が動けずもたつく間に奪われ、最後は川崎の家長昭博が入れたクロスを大井健太郎が弾き出せずオウンゴール。他会場の戦況を知っていたと思われる名波浩監督は思わずしゃがみこんだ。試合後、選手交代の意図を記者に問われた指揮官は「ご想像にお任せします」と答えるのが精一杯だった。
 
 最後に響いたのはマイナス13の得失点差だ。19節のG大阪戦でCBのレギュラーだった新里亮が左足に大ケガを負って長期離脱。22節の浦和戦に大量4失点を喫すると、25節の名古屋戦ではクラブワーストタイの6失点。G大阪、名古屋ら下位チームが巻き返すなか、勝ち星を積み重ねられず、29節の清水戦は5失点を許してしまう。ロシア・ワールドカップの中断期間前に8位だったチームは15位まで転落。目標の5位以内はおろか、残留争いにシフトせざるを得なくなった。

 守備陣は自信を失い、前へとボールを運べなくなっていた。名波監督が「カミンスキーへのバックパスが多くなっている」と嘆き、大井も「何でですかね」と首をかしげたが、大量失点の記憶が積極的に危険を防ぐ「中締め」「縦ズレ」「横ズレ」というジュビロの十八番を鈍らせた。昨季リーグ最少失点を成し遂げた守備陣にその面影は残っていなかった。
 
 川崎戦のラストは最終ラインが踏ん張りきれず失点。逆に、チームでフルタイム出場したのはセンターバックの大井と高橋で、ともにキャリア初という日を、プレーオフ圏内転落で締めくくったのは皮肉な話だ。

次ページ経験値豊富なベテランDFたちも安定感を欠き…

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