【湘南】史上2度目のJ1残留を支えた「年齢・経験不問」の起用法。若手抜擢のカラーがより鮮明に!

2018年12月04日 隈元大吾

3年前に残留を決めた一戦でルーキーの出場はなかった一方で今回は…

2年目の杉岡(写真右)に加え、金子や坂などのルーキーが台頭。彼らの成長は今季のチームを語る上で欠かせない。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ34節]名古屋2-2湘南/12月1日/パロ瑞穂 

 最終節の名古屋戦。湘南はJ1残留に向けて引き分け以上が求められる状況で試合に臨み、菊地俊介のゴールで幸先よく先制。さらに梅崎司がPKを仕留め、前半のうちに2点をリードした。後半は一転、ホームチームに2本のPKを与えて追いつかれたが、押し込まれながらも流れのなかではゴールを許さない。2-2のドローとしてJ1で戦う権利を自力で掴んだ。
 
 曺貴裁監督のもとで果たしたクラブ史上2度目のトップディビジョン残留である。前回は年間8位でフィニッシュした2015年。第2ステージ・14節FC東京戦に勝利し、歓喜を味わった。

 当時の面々を見ていくと、大卒2年目の菊地がスタメンに名を連ね、メンバー最年少は22歳の遠藤航(現シント=トロイデン)。年齢や経験に捉われない指揮官の采配は、いまに始まったことではない。年齢や経験を取り上げる風潮自体に疑問を投げかけている。
 
 その色は今季に入り、さらに濃くなったかもしれない。くだんの名古屋戦、19分に記された先制点の場面が示唆的だ。アシストとなるクロスを送ったのは20歳の金子大毅だった。またゴールまでの一連の起点となった杉岡大暉も、金子と市立船橋高の同期で20歳のプレーヤーだ。初優勝したルヴァンカップでも彼らはファイナルのピッチにスタメンで並び立ち、杉岡が決勝ゴールを挙げてMVPを獲得したのは記憶に新しい。

 さらにベンチへ目を向ければ、彼らと同学年でクラブ生え抜きの19歳、石原広教と齊藤未月も控えていた。名古屋に押し込まれたゲーム終盤には、来季の加入が決まっている特別指定選手の大橋祐紀(中央大)も齊藤とともにピッチに立った。

 先制点をアシストした金子然り、また最終ラインを統べる大卒の坂圭祐然り、いずれも今季プロ1年目である。彼らはシーズン当初から試合に出られたわけではない。ルヴァンカップなどを通じて次第に頭角を現わし、リーグ戦の出場を重ねてきた。一方、15年も初めてJ1を戦う選手は少なくなかったが、残留を決めたFC東京戦でルーキーが誰ひとり起用されていない事実を考えれば、大きな変化だろう。

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