無謀な飛び出しなどで開始6分間に2失点…“悲運のGK”カリウス、またも欧州の舞台でやらかす

2018年11月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

「全く予期せぬ失点だったが…」と指揮官

この場面も含め、好守も多く見せたが、一瞬の判断ミスや集中力の欠如が大きなミスに繋がってしまいがちのカリウス。試合後はチームメイトと勝利を喜んでおり、悪い流れを引きずることはなさそうだ。 (C) Getty Images

 11月29日(現地時間)にヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第5節が行なわれ、幾つかのグループでは上位2チーム(決勝トーナメント進出)が決まったが、グループIは4チームが勝点3のなかでひしめき合う大混戦となっている。
 
 そのなかで今節、トルコのベジクタシュはノルウェーのサルプスボリと敵地で対戦し、2-3の勝利を飾ったが、それは90分に決勝ゴールを奪うという、非常に劇的なものだった。
 
 これで最下位から、首位ヘンクに勝点1差の2位まで浮上したベジクタシュだが、この試合で話題となったのは、GKロリス・カリウスの立ち上がりのプレーだ。
 
 カリウスといえば、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝でリバプールのゴールマウスを守ったが、2つの失点に直結するミスを犯してレアル・マドリーの欧州3連覇を許した"戦犯"、そして"悲運のGK"として世界にその名を広め、今夏、ブラジル代表アリソンの加入によって出場機会を失い、ベジクタシュに新天地を求めた。
 
 再起を誓ってのトルコへのレンタル移籍(期間は2年)だったが、ここでも彼は、時折不安定なプレーが散見し、先月のELマルメ戦では軌道の変わったクロスで頭上を破られてゴールを許したことが大きな話題となり、見切りをつけたベジクタシュが彼をリバプールに返却し、代わりにFWディボック・オリギを要求するのでは? とのニュースも流れた。
 
 その後、ベジクタシュはこれを否定し、買い取りの意思もあることを表明したが、これによってますますカリウスは、ひとつのミスで注目を集めてしまう存在となってしまった。
 
 そして今回のサルプスボリ戦。スタメンに名を連ねたカリウスは、試合開始からわずか1分、スルーパスでラシャド・ムハメドがDFラインの裏に抜け出すと、無謀とも言えるペナルティーエリア外への飛び出しからスライディングでボールを奪いにいくも、あっさり頭上を越され、無人のゴールにシュートを決められる。
 
 さらにその5分後、やや前めにポジションを取っていたところ、トビアス・ハインツに30メートルほどのロングシュートを浴び、またも頭上を破られて2失点目を喫した。
 
 立ち上がりに2点のビハインドを背負い、さらにその後もホームチームに再三、ゴール前に迫られたベジクタシュ。しかし、ここで浴びた数本のミドルや至近距離のシュートに対しては、カリウスは的確な対応でゴールを許さない。
 
 すると後半、ベジクタシュは攻勢を強めて66分までに同点とし、前述の通り90分、イェレマイン・レンスが自身2点目となるゴールを決め、土壇場での逆転で貴重な勝点3を手にした。
 
 シェノール・ギュネス監督は、「全く予期せぬ失点だったが、選手はパニックに陥ることなく、0-2から3-2と試合をひっくり返すことに成功した。神の助けもあったが、選手は素晴らしい仕事を見せ、素晴らしい成功を収めた」と、試合を振り返っている。
 
 指揮官が守護神に直接言及することはなかったが、SNSでは様々な書き込みがなされ、「また、やらかした!」「カリウスが試合を最初からめちゃくちゃにした」「ミスに次ぐミス。それでも彼は雇われ続けるのか?」などの厳しい意見から、「その後の好守でしっかりカバーしたから…」と擁護する声もあった。
 
 この試合でもそうだったが、ファインセーブも多々披露しており、25歳のドイツ人GKにとっては、ミスばかりが注目される現状はフェアでないと映っているに違いないが、この状況は当分続くことだろう。
 
 なお、ベジクタシュはEL最終節(12月13日)でマルメとホームで対戦。引き分け以上でグループ突破が決まるが、アウェーマッチでは0-2と敗れているだけに、最後まで厳しい戦いとなりそうだ。
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