「親友」を唸らせた会心の先制点。梅崎司が古巣相手に見せた輝きは、浦和サポの心にも風を吹かせた

2018年11月26日 轡田哲朗

意表を突いたトーキックにGK西川も脱帽

梅崎は浦和相手に貴重な先制点を決め、チームのJ1残留に望みをつないだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 古巣であり、親友であり、同い年の元チームメートの前で決めた強烈な一撃が、湘南ベルマーレをJ1残留に向けて一歩踏み出させた。24日のJ1リーグ33節で浦和レッズをホームに迎えた湘南は2-1の勝利を収めたが、先制点を決めたのが昨季まで浦和で10シーズンに渡ってプレーした梅崎司だった。
 
 浦和ペースで迎えた20分だった。自陣の深くから入ったロングボールを山崎凌吾が頭でフリックすると、そこに走り込んだのが梅崎だった。一気にスピードに乗って敵陣をドリブルで切り裂いた梅崎は、そのままGKとの1対1を決めた。
 
 この時、まず対峙していたのが森脇良太だった。浦和で長年チームメートとしてプレーした同学年の相手の特長は、「モリは前に強く、その前にインターセプトされる場面もあった」(梅崎)と話したように理解しきっている。そのうえで、梅崎が森脇を上回る部分が瞬発的な加速力だ。梅崎は山崎がヘディングする前からスタートを切り、森脇を完全に置き去りにした。この時点で、森脇とのマッチアップは駆け引きを含めて完勝だった。
 
 そして、浦和ゴールの前に立ちはだかったのが西川周作だった。梅崎と西川もまた同学年で、さらには大分トリニータの下部組織でともに過ごし、トップ昇格も勝ち取った間柄だ。お互いがお互いを「親友」と呼ぶ関係のふたりは、当然ながら手の内を知り尽くしている。梅崎は、この1対1の場面をこう振り返った。
 
「もうひとつ前のタイミングで打てたんですけど、もうひとつ運べると。足裏で転がしたのかな。そこでアイデアが浮かんだんです」
 
 そのアイデアが、トーキックだった。西川は1対1の局面で相手の足下に飛び込むのはなく、ドシッと構えるタイプだ。そのセービングのタイミングを狂わせたシュートはファーサイドに吸い込まれ、貴重な先制点になった。西川は試合後「彼自身のアイデアだと思うし、湘南を背負っているという気迫を感じた」と、舌を巻いた。
 

次ページ4月の浦和戦が「実は自分にとってのターニングポイントだった」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事