『ボールくれ』『20分しかないぞ』”停滞感”を打破した堂安の強気なメンタリティ

2018年11月21日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「なんかもっとアクションを起こせそうだなと感じていた」

59分に投入された堂安が流れを変える一因に。73分にはアシストを決めた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2018]日本4-0キルギス/11月20日/豊田スタジアム
 
 日本代表は11月20日、キリンチャレンジカップでキルギスと対戦し、4-0で勝利した。先発したメンバーは、いわゆるサブ組。森保一監督は、4日前に行なわれたベネズエラ戦からスタメンを総入れ替えして臨んだ。
 
 山中亮輔と原口元気が得点を挙げ2-0で折り返したものの、後半開始10分ほどは格下相手に攻め手を欠いた。チャンスと言えば、49分の三浦弦太と56分の杉本健勇のヘディングシュートくらい。前半に見せていた小気味良いパスワークも仕掛けも鳴りを潜め、アグレッシブさを失っていた。
 
 なかなか追加点を奪えずにいた日本の攻撃を活性化させたひとりが、途中出場した堂安律だった。
 
「ベンチから見ていて、なんかもっとアクションを起こせそうだなと感じていた。何か変えてやろうと思ってピッチに入りました」
 
 前半から戦況を見ながらチームの停滞感を感じ取っていた堂安は、自分がピッチに入った時のイメージを膨らませていた。
 
「まずは最低限、守備でハードワークすること。それとボールを持ったらとにかく前につけようと思っていました。停滞していたし、あまり仕掛ける意識が少なかったのかなと感じていたので、際どいところでもサコくん(大迫勇也)に当てていこうと。ピッチに入る時にサコくんに『無理やりにでもつけていくので』と話はしました」
 
 59分、堂安、大迫、柴崎岳が同時投入されると、みるみるうちに流れが変わる。堂安の効果的な縦パス、大迫のポストワークを中心として、攻撃にリズムが生まれていった。ゴールにはつながらなかったものの、特に66分のヒールパスはDFを困惑させたはずだ。
 
 チームがリズムを取り戻すと、72分に大迫が追加点を奪う。さらに、中島翔哉と南野拓実が交代出場した73分からわずか1分後には、堂安のアシストから中島が4点目をゲット。"レギュラー組"が格の違いを見せつけた。
 
「もっとプレーしたいという気持ちがあったし、『ボールくれ』『20分しかないぞ』という焦りもあった。多分僕だけじゃなくて、サコくんや翔哉くんや、拓実くんもそういう気持ちでプレーしていたと思う。『早っ』という感じで、あっという間でしたね」
 
 積極的な姿勢でチームに推進力をもたらし、"停滞感"を打破した堂安。短時間で仕事を果たす、そのメンタリティは素晴らしい。
 
「与えられた役割をしっかりやろうと思った。それに、下に見ているわけではないですけど、この相手にやれないと正直先はないと思いますし、自分にあえてプレッシャーをかけてピッチに立ちました」
 
 あえて自らにプレッシャーをかけ、それを撥ね退けてしまうのだから恐れ入る。どこまでも強気な20歳である。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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