「薬はやめておけ!」「俺は拳で解決してきた」ウェストハムの元悪童FWが子どもたちに更生を諭す

2018年11月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

約7年ぶりに更新されたロンドンでの少年犯罪率。

今シーズンのウェストハムでは、プレミアリーグ9試合で5得点と重要な得点源となっているアルナウトビッチ。子どもたちへは特別な想いを抱いているようだ。 (C) Getty Images

 かつて悪童と揶揄されてきたウェストハムの点取り屋マルコ・アルナウトビッチが、地元ロンドンの子どもたちに人生の指南を施した。

 セルビア人の父親とオーストリア人の母親の間にウィーンで生まれたアルナウトビッチは、幼少期から素行の悪く、様々なチームを転々とし、クラブの首脳陣たちと衝突。バッドボーイとして扱わられてきた。

 そんなオーストリア代表FWも現在29歳となって、ピッチの内外で大人びた行動をしている。その最たる例として取り上げられているのが、ウェストハムが主催し、暴力や貧困、病に苦しむ地元の子どもたちを支援する『10million Players』というプロジェクトへの参加だ。

 ウェストハムが拠点を置くロンドンは、近年、少年犯罪が増加の一途を辿っており、英紙『Daily Mail』によると、2018年にナイフなどを使用した殺傷事件や薬物での検挙数は、例年の16%も増えており、約7年ぶりに史上最高の数字が記録されたという。

 そんな現状を少しでも変えるべくアルナウトビッチは、クラブが主導して行なっているサッカークリニックに積極的に参加しているのだ。かつての暴れん坊は、同プロジェクトで「俺にはサッカーを介して多くの友だちがいた。けれど、彼らの大半は刑務所に送られたよ」と、子どもたちにリアルな生い立ちを語っている。

「刑務所に入った奴らが何をやったのかは、ここで具体的に話すべきではない。あまりに酷いことばかりだからね。だけど、俺もそうなっていた可能性があった、ということだけは言える。だから、誰にだって起こり得ることなんだ。とくにSNSやインターネットを好き放題に見れるようになった今の時代はね」

 さらにアルナウトビッチは、「変わろうとしている友だちがいるなら傍に行って話を聞いてあげてほしい」とも訴えている。

「インスタグラムやネットで君たちを見て、金を要求するような連中が多くいる。そいつらは薬を売ったりして金を得ようとしてくる。君たちはそうなってはいけない。薬を売買するような悪い道には進むな。それだけはやめておいた方が良い。人生で、その道を取るのは簡単だ。ただ、君たちは厳しい罰を受け、人生を弄ばれて終わりだ。

 俺は若い頃、困ったことがあったら全て自分の拳で解決してきた。そこにはナイフなんて使う奴はいなかったさ。今は時代が変わって、ポケットに忍ばせたナイフや銃で問題を解決しようとする。そういうことが『タフガイの証拠だ』と言うかのようなマフィア映画もあるだろう。だが、それはとても危険なことなんだ。もしも、そんな奴らがいたら、友だちだとしても離れるべきだ。そして、悩んでいる友だちがいたら助けるためのアドバイスを送ってあげてほしい」

「子どもたちのために正しい生き方をアドバイスしたいんだ。それが俺にとっては重要なことでもある」とも語ったアルナウトビッチ。かつての"悪童"は、いま、人が変わったかのようなキャリアを送っている。
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