鹿島の"アジア制覇"を後押しする若手が作り出したチーム内の『空気』

2018年11月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

スタメン9人を入れ替えたC大阪戦で最良の結果を得る

決勝点を挙げた小田(23番)など大岩監督が抜擢した若手が活躍した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ31節]鹿島1-0C大阪/10月31日/カシマ
 
 試合後、大岩監督は安堵の表情を浮かべてこう語った。

「今日のパフォーマンスを見て、彼らの姿勢に私自身が勉強させられた。このチームがもうひと回り、レベルを上げていく姿を見ることができて、とても嬉しかった」
 
 来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を争う7位のC大阪との対戦。指揮官は賭けに出た。C大阪戦から11日間で4試合を戦う過密日程。3日にはACL決勝のペルセポリス(イラン)戦の第1戦をホームで戦う。厳しい台所事情も考慮し、4年目のMF久保田をリーグ戦に初出場させるなど、これまで出番のなかった若手を起用。10月24日のACL準決勝、水原三星(韓国)から9人を入れ替えた。
 
 結果として、監督の大胆な采配が奏功した。今季加入したFW山口は、前線で躍動。決定力という大きな課題を残したが、ひとりで9本のシュートを放ち、C大阪に脅威を与えると、久保田もトップ下の位地で攻撃を巧みに構築。決勝点も今季5試合目の出場となったDF小田が、プロ初得点となるヘディング弾でこじ開けたもので、小田は「普段試合に出られない選手たちで、試合前に『やってやるぞ』と話していた。これでACL決勝に弾みがついた」と振り返った。
 
 若い攻撃陣の善戦に、直近4試合で10失点と低調だった最終ラインも奮起。GKクォン・スンテを中心にゴールに鍵を掛けると、相手の14本のシュートをすべて阻止し、完封勝利。公式戦6試合ぶりの白星を挙げた。
 
 MFレオ・シルバやFW鈴木など、主力選手の大半を温存できたことは大きい。多くの選手がフレッシュな状態で決勝第1戦に臨むことができる。ただ、さらに大きな収穫があった。若手が作り出したチーム内の『空気』だ。
 
「(個々の)アピールのためではなく、『チームに勢いをつけてやる』という思いを感じた。(鈴木)優磨なんかは、試合後のロッカールームで『次は俺たちがやってやる』という気持ちになっていた」とDF昌子は明かした。指揮官が"総力戦"と話す状況でチームがひとつになったことは、最大の目標「アジア制覇」に向けて、この上ない成果であり、大きな変化だ。
 
 C大阪戦の勢いをそのままに、鹿島は3日、悲願だったアジア制覇に向けた最後の壁に挑む。
 
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