絶好調ドルトムントを支える“近未来の1億ユーロプレーヤー”の陰で…香川真司はいよいよ正念場に

2018年10月31日 遠藤孝輔

レジェンドたちから激賞されるサンチョの実力とは?

以前のようにコンスタントな出場機会を得るどころか、ベンチ入りするのも困難になっている香川。そんな日本代表MFの存在を忘れさせるほどに今のドルトムント攻撃陣は好調だ。 (C) Getty Images

 ドルトムントが絶好調だ。9節を消化したブンデスリーガではいまだ無敗を貫き、6節終了後からは首位に立っている。圧巻はチャンピオンズ・リーグ(CL)でのパフォーマンスで、アトレティコ・マドリーを4-0と一蹴した3節のホームゲームは欧州中に大きな衝撃を与えた。

 躍進の理由を挙げれば、それこそキリがない。とはいえ、最大のそれはリュシアン・ファーブル新監督の戦術が機能していることだろう。典型的なCFタイプを使わず、攻撃陣の流動的なポジションチェンジと多彩なコンビネーションを活かす攻撃が十分に機能している。

 前線を牽引するのはマルコ・ロイス。ブンデスリーガで5ゴール・5アシストと素晴らしい結果を残し、CL、DFBカップでも違いを作り出している。使うのも使われるのも上手いエースを中心に、ドルトムントの攻撃が回っているのは間違いない。

 そのロイスに引けを取らないパフォーマンスを見せている俊英が存在する。ブンデスリーガで4ゴール・6アシストと大ブレイク中のジェイドン・サンチョだ。

 特にここ最近の働きぶりは凄まじく、5節のシュツットガルト戦、CLのアトレティコ戦、6節のヘルタ・ベルリン戦と3試合連続でゴールネットを揺らしている。ヘルタ戦では、自身初となるドッペルパック(1試合2得点)というオマケ付きだ。

 10月に歴代9位の若さでイングランド代表デビューを飾った18歳は、昨シーズンから持ち味のドリブルで見せ場を作っていた。ただ、チームメイトとの連係(周囲を活かし、みずからも活かされようとする意識)やオフ・ザ・ボールの動き出しに改善の余地があり、ゴール前で決定的な仕事をこなす頻度が高まらなかった。若手の育成に長けるファーブルの指導もあり、今シーズンはそうした短所がほとんど顔を出していない。

 2017年の夏にバルセロナに移籍したウスマンヌ・デンベレに次ぐ、近未来の"新たな1億ユーロ"プレーヤーとも称されるサンチョへの称賛は後を絶たない。ドルトムントが誇るライジングスターに首ったけなのは、元ドイツ代表のローター・マテウスだ。『DAZN』ドイツ版でコメンテーターを務めているレジェンドはこう激賞する。

「私にとって完璧な選手だよ。彼の持つスキルは本能的であり、完全に天然ものさ。誰かに教えられて輝けるものじゃない。信じられないスピード、素晴らしいテクニック、そして、チームメイトに重要なパスを出すための目もある。彼はサッカーもボールも大好きで、フェラーリか何かを次に買おうだなんて考えちゃいない」

次ページ未来ある俊英の陰に隠れてしまっている香川真司。

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