【J1・18節クローズアップ】終盤でも落ちない機動力で柴崎岳が2試合連続弾|鹿島 5-1 広島

2014年08月03日 田中 滋

ゲーム終盤に見せた驚異の瞬発力でダメ押し点をゲット。

コメントにも調子のよさが窺える柴崎。昨年王者を粉砕するゴールラッシュを演出した。 (C) SOCCER DIGEST

 中断明けから柴崎岳のパフォーマンスは試合を重ねるごとに輝きを増している。広島戦では1ゴール・1アシストながら、実質的には5得点すべてに絡んだと言って良いだろう。特に後半途中からトップ下にポジションを移してからは、広島の守備陣が一番嫌う5バックと4人の中盤の間に位置取るだけでなく、自在のフリーランニングで相手を引きつけ、守備網をズタズタにした。
 
 「チームとしては非常に良い戦いだと思います」
 満足げな表情をうっすらと浮かべながら、その雰囲気に流されず勝って兜の緒を締める。古来から言われ続ける勝者の極意を22歳の若者はさらりと実行した。
 
「失点シーンに関してはちょっと曖昧なプレーが多すぎたなと思いますし、クリアするところはしっかりクリアしてそのピンチを凌いでいかなければならない。でも、そこからチームとしてもう1回攻めるという気持ちを見せられたのはよかった。結果として2、3点目が入った時に相手が裏にオープンなスペースを与えてくれた。僕とダヴィのゴールはそういった状況もあってのことなので評価は難しいですけど、ルイスのゴールとセットプレーからの大伍くんのゴールはすばらしかったと思います」
 
 チーム全体が柴崎を見ている。その印象は試合毎に強まる一方だ。
「前に比べるとパスは集まるようになっているし、ここ最近はそこからチャンスに結びつけるパスだったり、フィニッシュにもよく絡めている。そういう部分での信頼感はできあがってきている。僕自身もそういったランニングをしながら囮であったり、自分がもらうこともそうですけど、攻撃の厚みができている感覚はあるので続けていきたい」
 
 チームメイトとの信頼関係の構築が2試合連続ゴールにつながっている。個人的なパフォーマンスも試合を重ねるごとに増している。とりわけ試合終盤でも落ちない機動力は、他の選手にない柴崎ならではの武器となっている。チーム5点目となった83分の自身の得点も、ダヴィのパスは決して丁寧ではなかった。そこにスッとスピードを増して飛び込める瞬発力を、あの時間帯で発揮するのは驚異的だ。
 
 「天皇杯の時はコンディションの部分も含めて、その前までかなり追い込んだ状態でやっていたので体が重く難しい部分もありました。ある程度休養も与えられて体が馴染んできたこともあって、ここ最近は非常に良いコンディションが保ててます。なるべく長くこういったコンディションを保ちたいと思います」
 
 ブラジルには縁が無かったが、過酷な環境にも逞しさを見せる22歳のボランチに、期待は高まるばかりだ。
 
取材・文:田中 滋(フリーライター)
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