チャナティップを育んだタイ名門が2部落ち… 現地ファンを震撼させた降格劇を日本人の元所属選手も憂慮

2018年10月23日 佐々木裕介

今季のタイリーグはかつての有力クラブが降格の憂き目に

チャナティップがかつてユース時代から所属したポリス・テロ(所属時はBECテロ)が2部に降格した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 タイリーグ1部(以下、T1)は、10月1週目をもって今季全日程を終了した。優勝はブリーラム・ユナイテッド、この8年で実に6度目の優勝だ。2位のバンコク・ユナイテッドとの勝点差は「16」、後続を圧倒した強さは天晴れという他ないものだった。

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 広島FWのティーラシンや神戸DF、ティーラトンといった主軸の引き抜きにあったムアントン・ユナイテッドの凋落、また首都クラブ・ポートFCの躍進などが際立った上位争いもさることながら、残留争いにもドラマがあり、リーグ最終節までファンの関心を集めていた。
 
 最終的にリーグ2部(以下、T2)降格となったのは、エアフォース・セントラルFC、ウボン・UMT・ユナイテッド、サイアム・ネイビーFC、ポリス・テロFC、バンコク・グラスFCの5クラブ。
 
 今季リーグカップ決勝まで勝ち残っていたバンコク・グラスFC(チェンライに敗れ準優勝)の降格には衝撃を受けたファンも多かったに違いない。セレッソ大阪と業務提携を持ち、日本遠征で来日したことも数回。日本のファンも耳にしたことのある名前かもしれない。
 
 しかしそれ以上に現地のファンを震撼させたのが、"名門"ポリス・テロFC(以下、テロ)の降格だろう。2000年初頭、タイサッカー界を席巻したクラブには悲喜交々な歴史がある。12年に"時の名将"スヴェン=ゴラン・エリクソンをテクニカル・ダイレクターに招聘、13年には清水エスパルスと業務提携を締結。14年、のちにA代表に名を連ねることになるチャナティップ(札幌)、タナブーン(バンコク・グラス)、トリスタン・ドゥ、ピーラパット(ともにムアントン・U)など"黄金世代"が躍動し、13年ぶりとなる"リーグカップ優勝"も勝ち取った。
 
 17年には、諸問題によりリーグ加盟資格を剥奪されていたポリス・ユナイテッドが経営参画し、チーム名をBECテロ・サーサナから"ポリス・テロFC"へ変更。しかし現体制で挑んだ再建計画は失敗に終わり、96年のプロリーグ創設以降、常に1部リーグ残留をキープしてきた唯一のクラブの初降格が決定した。
 

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