「期待通り」「申し分無かった」と指揮官も手放しで称賛! "キング・ケイスケ"が早くもチームの中心に

2018年10月21日 植松久隆

名刺代わりの一発で“持っている”男の面目躍如

右サイドハーフで先発した本田は、クロスを頭で合わせて先制点を挙げた。(C)SOCCER DIGEST

 40,504人の大観衆の視線が注がれたメルボルン・ダービー。選手入場で濃紺のユニホームの一団の先頭で入場した本田圭佑の左腕には、黄色いキャプテンマークが巻かれていた。キャプテンの元オーストラリア代表MFカール・ヴァレリが先発を外れたことで、その代役として、本田がゲームキャプテンを任されたのだ。

 そのヴァレリの不在と、この試合がデビューとなる期待の若手"スピードスター"ケニー・アジウを先発起用したことで、フォーメーションは中盤がダイヤモンド型の4-4-2を採用。試合前にはボランチと予想する声が多かった本田のポジションだが、この試合は右サイドのMFに入った。

 左サイドにオーストラリア代表経験のあるテリー・アントニウス、トップ下には同じくオーストラリア代表の技巧派MFジェームス・アロイジ、前線に先述のアジウとニュージーランド代表のコスタ・バルバローシスというスピード豊かな2トップが並ぶ攻撃陣の仕切り役を任された。
 
 立ち上がりから本田が積極的にボールに絡み、ビクトリー優勢で推移した試合にビッグモーメントが訪れる。28分、右SBのニュージーランド代表ストーム・ルーのクロスを、ふたりのDFに挟まれながらも本田が豪快に頭で叩き込む。名刺代わりの一発をデビュー戦で決めるあたりは、さすがに"持っている"男の面目躍如。これで会場のボルテージは一気に上がった。

 その後、39分、VARによって覆った疑惑の判定で与えてしまったPKで同点に追いつかれると、70分、投入されたばかりのオーストラリア期待の若手の筆頭格ライリー・マッグリーに勝ち越し弾を決められる。結局、同点弾のゴールは遠く、ビクトリーは1-2と悔しい開幕黒星スタートとなった。

 試合後の記者会見で疑惑のPK判定には不満の色を隠さなかったケビン・マスカット監督も、本田の話題になれば、一転、ポジティブな言葉が口を衝いた。本田のキャプテンシーの感想を聞かれると、「素晴らしかった。彼は非常にクレバーなフットボーラーでチームに合流してから短期間ですでにチームを把握した」と目を細めた。

 そのパフォーマンスにも、「期待通り。彼は今日のゲームを通じて、大きな影響を与え続ける存在だった。テクニックは抜きんでているし、得点という結果だけでなく全体的なパフォーマンスが申し分無かった」と、悔しさの残る敗戦の直後とは思えないほどの絶賛。そこに監督の全幅の信頼が垣間見えた。
 

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