浦和を成熟させた"オズマジック"! ACL出場権獲得へ、ラストスパートの準備は完全に整った

2018年10月21日 轡田哲朗

キャプテンの柏木がハーフタイムに掛けた声が効いた

宿敵の鹿島を下して5位に浮上した浦和。来季のACL出場権が見えてきた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ 30節]浦和3-1鹿島/10月20日/埼玉

 まさに「生きるか死ぬかの勝負」をものにしたゲームだった。浦和レッズの宇賀神友弥は、20日のJ1リーグ30節、鹿島アントラーズ戦を2日後に控えたトレーニングの後に、この試合の意味をそう表現していた。
 
 それもそのはずで、試合前の時点で浦和から見て鹿島は勝点差4で3位にいる相手だった。現実的にリーグ戦の目標が3位での来季AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権の獲得となる中で、敗れれば残り4試合で勝点差は7になる。そうなれば、まさに「死」を意味した。引き分けすら鹿島が喜ぶ試合で、浦和の前半の内容は素晴らしかった。それでも、ワンチャンスをものにされて0-1でハーフタイムを迎えた。
 
 この試合のターニングポイントのひとつが、後半立ち上がりの15分間をどう過ごせたかだろう。オズワルド・オリヴェイラ監督は試合後「ハーフタイムでは、リードされているけれど変えなくて良いと話しました。同じように続けようというのは、モチベーショントークではなく、私が実際に感じていたことでした」と話した。
 
 そうは言いながら、追いかける展開を前掛かりになってカウンターでトドメを刺されるというのは、もう何年も浦和が見せてきた悪癖のひとつだ。宇賀神は、キャプテンの柏木陽介がハーフタイムに掛けた声が効いたのだと証言している。
 
「(柏木)陽介がひと言、『絶対に逆転できるから、バランスだけは崩すな』と。今日はリズムの良いボール回しからチャンスを作れていたし、このままやれば逆転できるという言葉がキャプテンから出たのが大きかったと思います」
 
 少し興味深いポイントは、前後半を通じて組織的なコンビネーションプレーから多くのチャンスを作りながら、最終的にゴールをこじ開けたのは個人技の部分が大きかったところだ。同点ゴールはコーナーキックを蹴った柏木の正確なキックの技術と、岩波の打点の高いヘディング。勝ち越しゴールは、まさに弾丸ミドルと言える武藤の左足。そして、止めを刺したのもまた、試合終了間際に武藤が中盤から一気にドリブルで相手3人をかわして決めたものだった。そうした3-1の勝利に対し、オズワルド・オリヴェイラ監督はその機微についてこう話している。
 

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