【ルヴァン杯】まさに天国と地獄。PK失敗で涙を見せた梅崎司のファイナルへの想い

2018年10月15日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

梅崎がPKを外したあとに取った行動は?

今季ルヴァンカップでは10試合4得点を挙げるなど、好調を維持している梅崎に決勝は注目だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ準決勝・第2戦]湘南 2(5PK4)2 柏/10月14日/BMWス
  
 梅崎司、31歳。「いくつになっても成長できる」決意を持って、今季から湘南ブルーのキッドに袖を通した男は柏とのルヴァンカップ・準決勝の第2戦で天国と地獄を見た。
 
 90分を終えて1-1、2戦合計で2-2となって試合は延長戦へと突入。互いに1点ずつを取り合い、勝負の行方はPK戦へと委ねられた。
 
 両チームのキッカーがすべて成功させて迎えた3本目。キッカーを託された梅崎は「散々練習でPKを決めていて、今日は緊張もしていなかった」と自信を持ってペナルティスポットへ向かった。しかし、ボールは無情にもバーを超えてしまう。
 
 列に戻った梅崎は涙を見せ、絶望の淵に立たされた。しかし、ここからチームは粘りを見せる。柏の4本目・江坂任のキックがポストに阻まれると、ルーキーの坂圭祐と金子大毅がきっちりと決めたのだ。最後は6本目を任された高山薫もネットを揺らし、その裏に柏・山崎亮平が枠を外してクラブ史上初のルヴァンカップ決勝進出が決定した。
 
 試合後、梅崎は「メンタルが弱いんでしょうね」と自身の失敗を猛省。ただ、ペナルティキックを外した直後、絶対に下を向いてはいけないと感じたという。チームに悪い流れを伝染させたくなかったからだ。「本当に頼んだという想いしかない」。それが自分に出来る最善の策だった。
 
 最後までベテランらしく立ち振る舞った梅崎。そのあとを託された坂、金子、高山薫は動じずにキックを成功させ、仲間のおかげで決勝に挑む権利を得た。舞台は埼玉スタジアム2002。昨季まで所属していた浦和で何度も戦ったピッチだ。
 
「絵になりますね(笑)。僕自身もすごく嬉しいですし、10年間戦ってきたスタジアムなので特別な場所。そこでやれるのは嬉しいし、成長した姿をそこで見せたい。ベルマーレで躍動感が増して、良い選手になったなと思われるようなプレーをしたい」
 
 7番はそう言って、大舞台に並々ならぬ意欲を示した。
 
 浦和時代の2016年にルヴァンカップを制覇した経験を持つ梅崎だが、神戸との同大会準々決勝・第1戦で左膝前十字靭帯を損傷。結局その1試合しかプレーできず、決勝の舞台に立てなかった。そういう意味でも、チームに貢献して掴み取った決勝進出に特別な想いもある。
 
「自分はチームとともに成長中なんですよ。それが楽しくてしょうがない。一歩ずつ足跡を踏んで、成長の景色が見られているので幸せ」
 
 サッカーを誰よりも楽しんでいる男は自身の失敗を帳消しにしてくれた仲間のためにも、10月27日の決勝に全身全霊を尽くしてクラブに初のルヴァンカップ制覇をもたらす。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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