【ルヴァン杯】 湘南初の快挙に曺監督が心境を激白!決勝に挑むイメージを持てなかった理由

2018年10月15日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

常に全力で戦ってきたからこそ曺監督は…

クラブ史上初のルヴァン杯決勝に導いた曺監督。様々な人に対する感謝の想いを胸にファイナルに挑む。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ準決勝・第2戦]湘南 2(5PK4)2 柏/10月14日/BMWス
 
「2年前、3年前もこのチームの監督だったし、コーチ時代も数えると在籍は10年を超えます。ある年からテレビやスタジアムでルヴァンカップを見ても、決勝に行く姿が想像できなかった」
 
 試合後、曺貴裁監督はクラブ史上初めてルヴァンカップの決勝に勝ち進んだ快挙を喜んだ一方で、自分たちがファイナルの舞台に挑む絵を描けていなかった事実を明かした。
 
  それも致し方ないのかもしれない。湘南はJ1とJ2を行き来するいわゆる"エレベータークラブ"。1リーグ制だった98年以前を除くと、2年連続でJ1に臨んだシーズンは15年と16年しかない。

 成績が安定せず、自前で育てた選手は活躍すると毎年のように他クラブへ移籍。日本代表の遠藤航(現シント=トロイデン)も例に漏れず、16年に浦和へと旅立った。そのため、陣容が前年とがらりと変わる場合も少なくない。

 そうしたなかでチームは目の前の試合を必死に戦い、勝利を掴もうともがいてきた。指揮官も「目の前の試合にすべてのエネルギーを出し、その中で勝敗を積み上げて何が残っているかということに向き合ってきた」と言う。決勝の舞台をイメージする余裕など一切なかったというのも頷ける。
 
 だが、今季はそうしたなかでチャンスが巡ってきた。準決勝まで勝ち上がり、柏との第1戦は敵地で1-1。貴重なアウェーゴールも奪い、優位な状態で14日の第2戦を迎えた。結果的に2度のリードを守れず、最後はPK戦で勝ち名乗りを挙げる形だったが、埼玉スタジアム行きのチケットを確保。あと1勝でチャンピオンとなる権利を得た。
 
「今回こういう機会に立つ権利を得たのは、今まで所属した選手やスタッフ、ずっと声を枯らさずにいてくれたサポーターやスポンサーの皆さん、彼らの実直で純粋な声がなければ、ここに立たせてもらえなかった」(曺貴裁監督)
 
 様々な人の支えがあったからこそ、想像できなかった決勝の舞台へと勝ち進んだ。

「遠藤のように代表に入っている選手や、志半ばでこのチームを離れる選手を含めて、彼らの頑張りがなければいまはありません。本当にみんなに感謝したい」(曺貴裁監督)

 指揮官は過去に在籍した選手も含めてクラブに関わった人たちのためにも、決勝で最高の結果を残すことしか考えていない。

 湘南を率いて早7年。すべての人の想いを胸に、指揮官は10月27日に行なわれるルヴァンカップのファイナルに挑む。

 取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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