「俺は薬物と銃に囲まれて…」元アルゼンチン代表FWテベスが過酷すぎる幼少期を赤裸々告白

2018年10月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

サッカーよりもゴルフ? 一体なぜ?

キャリアを締めくくるべくボカで南米制覇を目指しているテベス。そんなベテランFWは、自身の人生を回想した。 (C) Getty Images

 ボカ・ジュニオルスに所属する元アルゼンチン代表FWのカルロス・テベスが、自身の生い立ちとサッカー観を地元紙『Clarin』のインタビューで告白。その意外性のある言葉が反響を呼んでいる。

 テベスは2001年にアルゼンチン屈指の名門ボカでプロキャリアをスタート。2006年8月にプレミアリーグのウェストハムへ移籍して欧州上陸を果たしてからは、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、ユベントスとメガクラブを渡り歩いてきた。

 今年1月に中国の上海申華から古巣ボカへ舞い戻ったテベスは、『Clarin』のインタビューで、まず、ブエノスアイレス近郊のスラム街、フエルテ・アパッチェで過ごした幼少期を回想。いかに過酷な現実と戦っていたかを赤裸々に明かした。

「薬物や銃器、強盗といったものに常に囲まれていたフエルテ・アパッチェでのガキの頃は本当に厳しかった。それでも俺らはいつもサッカーで遊んでいて、とにかく空腹になるまでやった。チーズやサラミを賭けてプレーしていたよ。勝たなければならなかった。負けたら借金を返すこともできない」

 そうした劣悪な環境下で、己の才能を磨き続け、念願のサッカー選手となったテベスだが、実のところ「サッカーを観るのは好きじゃない」というから驚きだ。

「テレビでサッカーを観るのが好きじゃないんだ。もし、テレビでバルセロナとレアル・マドリーのクラシコと、ゴルフが同時に放映されていたら、俺はゴルフを観るね。俺がプレーしている意外にサッカーに関して夢中になったことは今までないんだ。足元にボールを置いてプレーするのは好きだけどね」

 とはいえ、夢中になってボールを追い続け、ワールドカップに2度も出場する国内屈指のビッグスターとなったテベスは、34歳となり、キャリアの終幕が見えてきたなかで、貧困に喘ぐ子どもたちを支援する活動も行うようになった。しかし、そうした活動を通して自身の幼少期と変わらぬ国の現状を痛感しているようだ。

「一日中、政治について議論したって意見がまとまることはないし、何かが決断されることはない。そして、その間に餓死する人間が大勢いる。ここは議論に時間を費やしているばかりで、餓死の危機にある子どもたちのために何もしていない」

 では、将来的に政治家へ転身し、国政に絡む可能性はあるのか? テベスはここでも意外な回答をしている。

「俺は一種のアイドルとして政治的なことを述べるつもりはない。でも、誰かが俺に電話をかけ、手を差し伸べてきたなら、俺は何かをしなければならないかもしれない」

 引退後の仰天プランも匂わせたテベスだが、「俺は南米を制したい」とも語っており、今はベスト4まで勝ち進んでいるコパ・リベルタドーレス制覇のみに闘志を燃やしているようだ。
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