W杯ライバル攻略法|緩いプレスがギリシャの泣きどころ

2014年03月07日 ソン・ジフン

パスワークに優れ、スペースの活用がうまい日本なら――。

ボール処理のスピードも、プレスの出足も鈍かったギリシャ。EURO2004優勝当時の面影は、もはやないようだ。 (C) Getty Images

 ブラジル・ワールドカップでグループCに同居した日本代表のライバル、コートジボワールとギリシャは、3月5日の親善試合でどんな姿を見せたのか。

 日本にとって付け入る隙は? 警戒すべき武器は?

 韓国をホームで迎え撃ったギリシャを、韓国のスポーツ紙『イルガン・スポーツ』のソン・ジフン記者が検証した。

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 ギリシャはEURO2004で優勝した。大会を通じて披露した堅守速攻、機能的なプレッシングサッカーは、衝撃的ですらあった。コンパクトな陣形を敷き、相手を誘い込むと、連動したプレスでボールを奪取。そこから電光石火のカウンターを繰り出し、ヨーロッパの強豪を次々となぎ倒していったのだ。

 いまのギリシャに、当時の面影はない。もどかしいことに(日本にとっては幸いなことに)、2014年のチームは10年前の自分たちの長所を失ってしまった。3月5日、アテネで韓国を迎え撃ったギリシャは、問題を露呈した。ブラジル・ワールドカップでも、それは足かせとなるだろう。

 パク・チュヨンとソン・フンミンのゴールで韓国が2-0で勝利したこの試合で、ギリシャは総じて鈍く、遅かった。単純な走力だけではない。ボールを処理するスピード、プレッシングを仕掛ける出足など、すべてが鈍く、遅かったのだ。ポルトガル人のフェルナンド・サントス監督は試合前の会見で、抱負を口にした。
「韓国戦はベストメンバーで臨む。ワールドカップで日本を相手にするような気持ちで、この試合を戦いたい」
 しかし実際は、まるで迫力がなかった。

 とにかく、ギリシャのプレッシングは緩かった。試合後のミックスゾーンで、韓国の選手たちはその点を口々に語った。
「相手の守備陣をかいくぐってスペースに切れ込むのは難しくなかった」

 右ウイングのイ・チョンヨンは、
「ギリシャの選手たちは全体的に遅い。自分がボールを持ったとき、あるいは相手にとって危険地帯であるはずのサイドに切れ込んだときも、まったく難しさを感じなかった。プレッシングのレベルがさほど高くないという印象だ」
 とコメントした。

 左サイドのソン・フンミンも、
「ギリシャのディフェンダーは、体格はいいけど足が遅い。突破を仕掛けるこちらの動きを予測して対応する能力も不足していた」
 と語っている。そして2人は、日本にこう太鼓判を押した。
「パスワークに優れ、スペースの活用がうまい日本代表は、中盤の争いでも優位に立てるだろう」

 4-2-3-1システムで戦った韓国は、408本のパスを試みて351本を成功させた。成功率は86パーセント。成功数のトップ3は、CBのキム・ヨングォンが57本、ボランチのキ・ソンヨンが56本、トップ下のク・ジャチョルが45本。ギリシャがピッチの中央で主導権を奪われていた事実を証明するデータだろう。

次ページ中盤から出るスルーパスの質は高かった。

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