「キャリアを台無しにしたくなかった」 日本行きも噂されたトッティ、ローマで引退した理由を明かす

2018年09月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

「俺は約束を守る人間なんだ」


「ローマの王子」ことフランチェスコ・トッティがユニホームを脱いで、まもなく1年4か月が経つ。9月27日に42歳になるレジェンドは現在、クラブの幹部として後輩たちを支えている。

 引退か、現役続行かで揺れていた2016-2017シーズンの終盤、トッティには東京ヴェルディへの移籍の噂が浮上していた。だが彼は最終的に、愛するローマで現役を終えることを決めた。

 イタリア衛星放送「Sky Sport」によると、トッティは『Repubblica』紙で「アジアやアメリカで引退しなかった理由? 25年のキャリアを台無しにしてしまうからさ」と振り返っている。

「俺はずっとひとつのユニホームしか着ないと言ってきた。俺は約束を守る人間なんだ」

 また、かつての指揮官たちについて話す中で、トッティはルチアーノ・スパレッティ監督(現インテル)が「もっとも引退を後押しした」人物だともコメント。晩年に確執が騒がれていた指揮官との関係が良好ではなかったことをうかがわせている。
 
 一方、レアル・マドリーからのオファーを断ったことについては、「後悔はしていない。でも、とても辛い決断だった」と明かした。

「ローマに残ったのは、妻のイラリーのためでもあった。一緒になったばかりだったし、離れているのは好きじゃないんだ。ただ、振り返ってみると、私が勝ち取ったものだって悪くない。ワールドカップ、スクデット、コッパ・イタリア、スーペルコッパ、そしてゴールデンブーツだ」

 輝かしいキャリアを過ごしたトッティだが、スポーツマンシップに反する行為で批判を浴びたこともある。例えば、コッパ・イタリア決勝で当時インテルに所属していたマリオ・バロテッリを背後から蹴ったのもそのひとつだ。

「彼はずっと俺のことを挑発していたんだ。俺やローマの人たちのことをね。そして最後に俺の怒りが爆発してしまった。あれは相手を痛めるためのひどいファウルだった」

「ただ不思議だったのは、退場する時にだれひとり、インテルの選手が俺に怒りをぶつけてこなかったことだ。(インテルDFの)マイコンに至っては、ハイタッチすらしてきた。彼らもバロテッリには苛立っていたのかもしれないね」

 かつてのローマには、ある噂が存在した。それは、「自分が王様でいるために、トッティ自身がビッグネームの加入を拒み続けている」というものだ。だがトッティは、元ブラジル代表のロナウドやズラタン・イブラヒモビッチらの獲得をつねに望んでいたと主張している。

「俺はいつだって勝ちたかった。そのためには一流選手が必要だと、ずっと言ってきた。当時の世界最強の選手、ロナウドやイブラヒモビッチに来てほしかった。前線だけじゃない。DFやMFだって…。でも残念ながら、ローマの予算では無理だった。俺は当時、本当にローマでは考えられないような大物を連れてこようとしていたんだ」

 いまトッティはクラブ幹部としてチームを支えている。2シーズン前まで現役だったこともあり、選手たちの気持ちが分かる一方で、ローマが以前とは違う雰囲気のチームになったこともうかがわせた。

「いまのロッカールームで話されているのは、ほとんどが英語だ。それが分からないとコミュニケーションがとれない。あと、グループをつくらなくなったね。遠征先では、それぞれの部屋にこもってスマホでネットかSNSをしているようだ」

 時代が変わる中で、愛するクラブとチームをそばで支え続けるトッティ。開幕から4試合で勝点5の9位と出だしから躓いたローマだが、レジェンドが願う栄光を取り戻すことはできるだろうか。
 
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