[J１リーグ25節]札幌 ３-１ 神戸／９月１日／札幌ド
 
　３-１で勝利した神戸戦の自身のパフォーマンスを振り返れば、「悪くはないと思う」。
 
　狭いエリアでも鋭いターンで前を向き、果敢に仕掛ければ、巧みなポジショニングでパスを引き出して、攻撃を加速させる。目下３連勝中と好調の札幌で、チャナティップは相変わらずの存在感を示していた。
 
「スペースがあればドリブルして、ゴール前ではシュートを狙い、逆サイドにパスも出す。そうしたプレーは監督から求められていますし、しっかりやらないと怒られるので（笑）」
 
　もっとも、３ゴールを奪取した神戸戦で、チャナティップはいずれの得点にも直接的には関与していない。本人も「決定的な仕事はできませんでした」と反省する。
 

　それでも、"タイのメッシ"の異名を持つ小柄なアタッカーは、試合を重ねるごとにその評価を高めているのは間違いない。チームメイトからの信頼も厚い。シャドーのチャナティップを一列後ろから見ているボランチの宮澤裕樹は、次のように語る。
 
「苦しい時に預けたら打開してくれるから、困った時には預けたくなる。『なんとかして』みたいな（笑）。でも、チャナもボールを受けたほうが良さも活きるはず。日本人選手だと、あのアジリティにはなかなかついていけない部分があるし、チャナのところに相手が寄ってくれば、他の選手がフリーになれる。やっぱり相手はチャナを意識しているだろうけど、それを分かっていても、いろんな面で使ってあげたほうがいいと思う」
 
　個の力で局面を切り拓くのはもちろん、能力が高いゆえに"囮（おとり）"にもなる。来季のACL出場権獲得を本気で目指している札幌において、チームが苦しい時でも"なんとかしてくれる"チャナティップにかかる期待は大きい。
 
取材・文●広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）

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