【横浜】久保だけではない!ついに覚醒した“ハマのスピードスター”仲川輝人に注目すべし!

2018年08月27日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ゴールを呼び込んだのは積極性だった

64分に久保と代わって途中出場。ピッチを縦横無尽に駆け回り、攻守に奮闘した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ24節]神戸0-2横浜/8月26日/ノエビアスタジアム神戸
 
 仲川輝人がプロ4年目にして、ついに覚醒の時を迎えている。
 
 今年7月に26歳を迎えた仲川は161センチと小柄ながら、風を切るような快足が武器のアタッカー。専修大では3年次に関東大学リーグの得点王に輝き、ユニバーシアード代表にも選出され、"有望株"と謳われていた。しかし、右膝の大怪我を乗り越えて2015年にプロ入りした後は、長らく苦難の時間を過ごすことになる。
 
 横浜でのルーキーイヤーはリーグ戦2試合・0得点。翌年は夏にレンタル移籍したJ2の町田でロングカウンタースタイルにフィットして、12試合・3得点と存在感を示したものの、横浜に復帰した2017年はJ1で出場なし。夏から加入した福岡で18試合に出場も、ノーゴールに終わっていた。
 
 しかし、今季は一転、アンジェ・ポステコグルー監督の下で9節の湘南戦から出場機会を得ると、自慢のスピードを活かして24節の神戸戦までに5得点。15節の長崎戦ではプロ入り後初の2ゴールを挙げるなど、小さくないインパクトを残している。
 
 右太ももの怪我から回復して3試合ぶりのリーグ戦となった神戸戦でも仲川は躍動した。先制点を決めた久保建英に代わり途中出場すると、すぐさまトップギアに入れ、フルスロットルでピッチを駆け回る。
 
 最大の輝きを放ったのは、85分だった。ロングカウンターから相手のクリアミスを見逃さずいち早く反応すると、落ち着いてゴールに流し込み、チームの2点目を奪取。勝利を大きく引き寄せた。
 
「こぼれ球でしたけど、あそこにいることが大事でした。ウーゴもプレスをかけてくれたので、GKとカバーに来たDFを見て、冷静に流し込むだけでした」
 
 追加点を呼び込んだのは、チャンスと見ればグングンとスピードを上げてゴールに突き進む積極性だった。強気な姿勢には低迷するチームを救う覚悟のようなものが見て取れた。
 
「途中出場でしたけど、チームの勝利のために、100㌫以上の力を出さないといけなかった。その中で自分の持ち味を出していこうと考えて臨みました。それが得点につながったことは嬉しかったですし、チームとしても本当に良かったかなと思います」
 
 久保のゴールが取り上げられがちだが、確かな成長の跡を示していた仲川の働きもまた見逃せなかった。横浜には俺もいる――。そんな強い意志が感じられたファインゴールだった。
 
 神戸戦に勝利したものの、チームは残留争いの真っ只中。横浜の浮上の鍵は、この"ハマのスピードスター"が握っているかもしれない。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事