アウェーチームのロッカールームをピンク色に! 英2部クラブの仰天心理作戦の効果の程は!?

2018年08月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

アメリカの刑務所などでも用いられた手法だが…

ノーリッジの本拠地で戦ったWBAは、公式ツイッターでロッカールームの様子を公開している。 (C) Getty Images

 サッカーには、あらゆる戦術や作戦が存在し、ライバルを倒すための工夫がいつの時代においても用いられてきた。そして、チャンピオンシップ(英2部)のノーリッジが披露したそれは、実に驚くべきものだった。

 現地8月20日に公共放送「BBC」を始めとする英国メディアが驚きを持って伝えたのは、ノーリッジが、本拠地「キャロウ・ロード」のアウェーチーム用ロッカールームをピンク色に染め上げたというニュースだ。

 なぜ、彼らはこのようなことを行なったのか。それにはちゃんとした理由がある。

「BBC」によれば、ピンク色は男性ホルモンの一種であるテストステロンを減らす効果があり、精神状態を落ち着かせ、いわゆる闘争心を減らすという。アメリカでは古くから使用されており、アメリカンフットボールや刑務所では、今も採用されている。

 ノーリッジはそうした明確な狙いをもって、壁をピンクにしたわけだ。しかし「BBC」の取材に応じた、英サフォーク大学でスポーツ心理学を教えているアレクサンドル・ラテンジャク博士は「重要なのは監督の作戦だ」と語り、逆効果になる可能性も指摘した。

「ピンク色がそうした効果を表わしているのは、幼少期の体験からだとされている。イングランドでこうした作戦が用いられるのは非常に画期的だが、やはり重要なのは監督、そしてチームが何をするかだ。そうした作戦を実施する前に、勝つためにすべきことが他にあるはずだからね。

 相手チームは、ロッカールームがピンク色であることを知ってしまっているわけで、何らかの対策をとることができる。だから、むしろピンク色の部屋を見てハッピーになり、笑顔で気楽に試合に臨めるかもしれない。そうなれば、逆にパフォーマンスは向上してしまうだろうね」

 では実際のところ、効果の程はどうなのか? ノーリッジは「ピンク作戦」を実施してから公式戦2試合をホームで消化。そして、今シーズンのホーム初戦となったスティーブニッジ(英4部)とのリーグカップには3-1で勝利したが、2部リーグ開幕戦のWBA戦では、3-4で敗れている。五分五分だ。

 奇をてらったノーリッジの作戦について、敵チームもとくに違和感を感じていないようだ。

 同じ2部のプレストンの監督で、昨年3月までノーリッジを指揮していたアレックス・ニールは、地元紙『Lancashire Post』に対し、「そもそもの考え方が分からないし、とくに気にするつもりもない」と厳しい言葉を投げかけている。

「もしも、彼らがホームで満足に戦えていないというのならば、それは彼らの責任であり、相手のロッカールームの壁の色に気にしている場合じゃない。もっとサッカーのことに目を向けろと言いたいね」

 2シーズンぶりのプレミアリーグ昇格を目指すノーリッジだが、ここまで3試合で1分け2敗とスタートダッシュに失敗した感が否めない。はたして、いかなるシーズンを送るのか? この「ピンク作戦」がチームの負の産物とならなければ良いが……。
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