やはり別格の優良助っ人!負傷交代で明らかになった清水のFWドウグラスの存在感

2018年08月12日 前島芳雄

川崎に押し込まれても、なんとか奪ってドウグラスにつなげば…

先制点を決めたドウグラスは、43分に無念の負傷交代。以降、清水は苦しい戦いを強いられた。写真:徳原隆元

[J1リーグ21節]清水1-2川崎/8月11日/アイスタ

 今節は昨年の王者・川崎に力負けした清水。リーグ再開後は3連勝の後で2連敗となったが、チーム力が低下しているわけではない。鹿島戦は勝つチャンスが十分にあり、最終的に敗れたのは"時の運"という側面もあった。そして川崎戦は、現時点で力の差があることは否定できないが、前半戦の対戦(0-3で完敗)よりも「自分たちの出せる力を出して戦えた」(金子翔太)という手応えがある。
 
 なかでも特に頼もしいのは、7月に加入したFWドウグラスの存在だ。スピードと強さを兼ね備え、周囲との連係も得意な彼は、今季の清水でもっとも有力な得点パターンであるショートカウンターにピタリとはまり、4試合で3得点と目覚ましい結果を出している。
 
 今節の得点も、ボランチ河井陽介のパスカットからの典型的なショートカウンターで一気に攻めきったもの。ミッチェル・デュークからのパスを受けたドウグラスは、ファーストタッチ一発で車屋紳太郎を外しながら利き足で蹴りやすい位置にボールをコントロールし、左足で豪快にゴールネットを揺らせた。
 
 その鮮やかさ、気持ち良さは、ホームのサポーターを熱狂させるエンターテインメント性という意味でも申し分なかった。
 
 またドウグラスは、前線でのキープ力や、五分五分のボールを自分のものにする能力も高いため、川崎にボールを回されて押し込まれたなかでも、なんとか奪って彼につなげれば反撃の一刺しができるという共通意識をチームとして持てていた。それは味方にとって自信となり、相手にとっては恐さとなるため、ドウグラスが43分に頭を打って交代したことは、戦況に大きな影響を与えた。
 
 結果的に後半の清水は、川崎にカウンターの脅威を感じさせることができず、好きなように攻めこまれてしまう。そうなると、いかに守備ブロックを整えたとしても、気温28.2度、湿度77%という蒸し暑い中、ボールを動かされて走らされることで疲労が蓄積し、徐々に耐えきれなくなってくる。そして64分には、ついに大島僚太に決勝ゴールを許してしまった。
 
 そうしたドウグラスの存在感を考えると、心配されるのは怪我の状況だが、試合翌日の時点で詳細は分からない。ただ、交代時も自力で歩いており、「頭なので大事をとって交代させた」(ヤン・ヨンソン監督)という判断で、それほど深刻には見えなかった。
 

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