将来は1万倍の価値がつく!? W杯得点王ケインの顔が“ひょっこり”現われる5ポンド紙幣が話題に

2018年08月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

イギリスの5ポンド紙幣にこっそり刻印されたケイン

ショートはこれまでも紙幣に刻印を入れて寄付して貧しい施設に配布するなどの活動で注目されている。そんな彼が次に手掛けたのは、ワールドカップの得点王だった。(C) GEtty Images

 プロの妙技がすごい。

 イギリスで、イングランド代表ハリー・ケインの顔がこっそり刻印された5ポンド札(日本円約700円)が話題だ。この特別な紙幣の価値は、いずれ5万ポンド(約700万円)に達すると予想されている。英紙『メトロ』『The Sunday Times Magazine』など複数のメディアが報じている。

 イギリス・バーミンガムに拠点を持つ、マイクロ彫刻家のグラハム・ショートは、ロシア・ワールドカップで得点王に輝いたハリー・ケインの顔を刻印した、6枚の"特別な"5ポンド紙幣を生み出した。

 ショートはイギリス王家のレターヘッドの型などを手掛ける、著名な鉄板彫刻アーティスト。ペーパークリップやピンなどの隅に細かい文字や絵を掘ることを好み、その腕はアートファンの間で非常に高く評価されている。

 本来、イギリスで2017年から発行されている5ポンド札には、小説家のジェーン・オースティンの肖像画がある。グラハムはその肖像画の近くにあるポリマーの透明な部分に、イングランド代表キャプテンの顔を刻み入れたのだという。

 パッと見は気づかないが、よくよく観察すると、ジェーンの顔の反対側にケインの顔が"ひょっこり"と浮かび上がってくるのが分かる。

 ほんの1~2cmの幅に名前と人の顔を刻み入れるのは、顕微鏡を使いながらの、かなり繊細な作業だ。時間もかかる。なぜ、そんなことを始めたのかという記者の問いに、ショートはこう答えている。

「個人的にケインは、ジェーン・オースティンやこれまで5ポンド札に登場してきた偉人たちに並ぶ活躍を見せたと思ったんだ。6枚作ったのは、彼のワールドカップでのゴール数に敬意を込めてだ。1つゴールを決めたごとに、1枚作ったよ」

 ショートはこれを、アート作品として売買するつもりはないようだ。ケインへの敬意と、アーティストとして世間に何かを還元したいという気持ちが強いのだという。

 70歳を迎えたアーティストは、作った5枚の特別な紙幣(1枚は自身で保存)を、イギリスと周辺諸国で使うつもりだ。1枚目は、すでにイギリスのほぼ中央部に位置するソリフルという町で使用した。

「M40とM42(イギリスで有名な高速道路)から、ほんの数マイルしか離れていない。5ポンド札は、どこへでも行けるだろう」

 発見者の人生を変えるであろう特別な紙幣の行方について、「もうスコットランドのエジンバラには行ったんだ。J・K・ローリングがハリーポッターを書き始めたエレファントハウスへね。あのエピソードがとても好きなんだ、魔法のようで」。

 そして残り4枚は、ウェールズ、北アイルランドの予定だ。グラハムは「ウェールズには貧しい人たちたがくさんいる。これを見つけて売り、たくさんのお金を手に入れてくれたらうれしい。私の手掛けた5ポンド札が、いずれその地域の人たちの人生を変えるような、そんな風になることを夢見ている」と語る。

 普通に使ったら気づかないほどの細かなアートに、イギリス中がワクワクしているようだ。報道を見て、財布をチェックする人が後を絶たないとか。

 ケインの顔が施された5ポンド札が、ハリー・ポッターのような、新たなおとぎ話を生む日も遠くないかもしれない。もし手元に5ポンド札がある人は、確認してみては?

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