【W杯 伝説への挑戦】ネイマール、コロンビア戦への決意「1-0でもいいから、とにかく勝ちたい」

2014年07月04日 大野美夏

「足の痛みはもうない。試合には問題なく出られる」

チリ戦後、故郷サントスで束の間の休日を過ごし、英気を養ったネイマール。心配された足の怪我も問題ないようだ。 (C) Getty Images

 死闘とも言えるチリとの120分間の戦いで、心身ともに全力を出し切ったセレソンの選手たちには、翌日、オフが与えられた。
 
 ネイマールは怪我をした足の治療を兼ねて、自宅のあるサントスに帰り、友人や家族とくつろいだひと時を過ごし、束の間の休息を楽しんだ。
 
 リフレッシュしたネイマールは翌日、予定通り合宿所に戻った。全体練習には参加せず怪我の治療を続けたが、チームドクターのフンコは請け合った。
「問題ない。コロンビア戦には出られる」
 
 コロンビア戦を2日後に控えた練習で、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督はシステムに手を加えた。累積警告で欠場するルイス・グスタボの不在を受けての対応策で、中盤を3ボランチで構成したのだ。その顔ぶれは、パウリーニョ、フェルナンジーニョ、そしてエンリケ。グスタボと同レベルで守備のタスクをこなせる代役が見当たらないため、本来CBのエンリケに白羽の矢を立てたのだ。
 
 中盤の再編に伴って、前線の構成も変わった。CFのフレッジが外れ、フッキ、オスカール、そしてネイマールが並ぶ、いわゆるゼロトップの布陣だ。
 
 スコラーリ監督が、守備の人員を増やすシステム変更でグスタボの穴を埋めようと考えたのは、コロンビアの攻撃力を警戒してだ。前線を1枚削ったため、ネイマールにかかる負担はさらに大きくなったと言えるだろう。
 
 試合会場のフォルタレーザに発つ前に、ネイマールは意気込みを語った。
「足の痛みはもうない。試合には問題なく出られる。フォーメーションが変わっても心配はないさ。僕はどうにでも対応できるからね。トップがいてもいなくても、サッカーをやるだけさ」
 
 怪我の治療と並行して、このインターバルでネイマールは心のケアを受けた。極度の緊張と緩和という感情の大きな起伏を、PK戦で体験したからだ。チームメイトとともに、心理カウンセラー、ヘジーナ・ブランドンのカウンセリングを受け、次のように語っている。
「心理的に問題はないよ。カウンセリングなんて、それまで受けた経験がなかったけど、気持ちが軽くなっていいね。みんなにもお勧めするよ」
 
 コロンビア戦に向けて、ネイマールは続ける。
「ハメス・ロドリゲスは大会が始まってから、ずっと調子が良いようだね。同じ22歳だけど、年齢の若さなんて関係ないのさ。良いプレーをしたほうが生き残る。ただ、大事なのはチームが勝つこと、勝ち続けて優勝すること。僕がこのワールドカップで望んでいることはただひとつ、ブラジルの優勝だ。僕だけがチームを背負っているわけじゃない。チームのみんなで助け合ってやっている。チームは試合ごとに良くなっている」
 
「たしかに僕は、神様にもらった才能があると思う。でも、それをもっと磨かないといけないんだ。練習は試合のつもりで、試合は戦争のつもりでっていう父の教えを常に守っている。コロンビア戦は1-0でもいいから、とにかく勝ちたい」
 
文:大野美夏
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