怪我に泣いたあの2人に遭遇! フランス代表の“半端ない選手層”を再実感

2018年07月16日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

カランブーとブランに続き乗り込んできたのは…。

コシエルニー(左)とパイエ(右)は怪我でロシアW杯を棒に振っていた。(C)Getty Images

【ロシアW杯決勝】フランス4-2クロアチア/7月15日/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)
 
 優勝セレモニーが終わり、記者席のある6階からエレベーターに乗り込むと、4階でフランス人の一団が入ってきた。
 
 まず目に付いたのは、1998年W杯優勝メンバーであるクリスティアン・カランブーとロラン・ブラン。とくに前者は相変わらずトレードマークのドレッドヘアだったのですぐに分かった。
 
 エレベーター内は混雑していたのでどんどん詰まっていったが、自分の目の前には顔の小さいイケメンが飛び込んできた。よく見えるとロラン・コシエルニーで、その傍らにはディミトリ・パイエも笑顔で立っていた。それを見て、心の中でこう思ったものである
 
「そういえば、フランスにはコシエルニーもパイエもいなかったんだ。それで優勝か。とんでもない選手層だな……」
 
 本来はCBのレギュラー候補だったコシエルニーは5月3日のEL準決勝でアキレス腱を断裂し、EURO2016のヒーローだったパイエもEL決勝で負傷。いずれも今大会の登録メンバーから外れていた。
 
 さらに言えばロシアW杯では、世界屈指のCFのひとりであるカリム・ベンゼマが15年11月のセックステープ事件が尾を引いてやはり呼ばれなかった。その前線はキングスレー・コマン、アレクサンドル・ラカゼット、アントニー・マルシアルというビッグクラブ組がバックアッパー止まり。中盤でも逸材アドリアン・ラビオやティエムエ・バカヨコ、ジョフレー・コンドグビア、最終ラインでもクルト・ズマやリュカ・ディーニュが23人枠に食い込めなかった。
 
 コシエルニーを欠いたCBでは、ラファエル・ヴァランヌとサミュエル・ウンティティという若いコンビが躍動。主力だったバンジャマン・メンディとジブリル・シディベが怪我明けでコンディション不良だったSBでも、予選後に台頭したリュカ・エルナンデズとバンジャマン・パバールが十二分にその穴を埋めた。
 
 アタッカー陣の熾烈な争いを制してロシア行を勝ち取ったウスマンヌ・デンベレ、フロリアン・トバン、ナビル・フェキル、トマ・ルマールという逸材たちも、キリアン・エムバペやアントワーヌ・グリエーズマンの陰に隠れ、出場機会は限定的だった。
 
 5大会ぶり2度目の世界制覇を成し遂げたフランス代表の選手層は、文字通り半端なかった。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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