「W杯決勝であんなPKがあってはならない」クロアチア指揮官は苦虫を噛み締めた【ロシアW杯】

2018年07月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

「あれで風向きが変わってしまった」

たしかに手に当たってはいるが……。ペリシッチ(4番)にとっては痛恨の極みだろう。(C)REUTERS/AFLO

 ワールドカップ決勝でひとつのターニングポイントとなったのは、38分の場面だろう。
 
 フランスが先制してクロアチアが追いつき、ややオープンな展開となっていた。トリコロール軍団は右CKのチャンスを掴み、中央に送られたボールにブレーズ・マテュイディがヘッドで合わせる。だがミートせず、こぼれた球がクロアチア代表MFイバン・ペリシッチの手に当たってしまうのだ。故意か、不可抗力か。ゴールに影響する重大なファウルだったのか。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用され、アルゼンチン出身のピターニャ・ネストール主審は「PK」とジャッジした。

 
 これをアントワーヌ・グリエーズマンが冷静に決めて2-1。その後フランスは2ゴールを積み重ね、クロアチアの反撃を1点に抑えて勝利を飾った。
 
 
 あのPKの微妙な判定については意見が分かれており、英公共放送『BBC』の解説陣は誤審だと断じた。試合後の記者会見では、クロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督が苦虫を噛み締める。おおっぴらにジャッジを批判することはなかったが、こう言葉を紡いだのだ。
 
「我々は本当によく戦っていたが、あのペナルティーキックが風向きを変えてしまった。とてもゲームが難しくなったんだ。判定については、この一文だけ言わせてもらおう。ワールドカップ決勝であんな形のペナルティーキックなどあってはならない、それだけだ」
 
 こみ上げてくる感情を押し殺し、短くそうまとめた。そして、こう続ける。
 
「優勝を目ざして邁進したが、これがフットボール。フランスはなんら驚くようなことはしてこなかったし、あのソフトな2ゴール(オウンゴールとPK)の差が明暗を分けた。ノックアウトラウンドに入ってから我々は幸運に恵まれてきたが、今日はまったく欠けていたね。4点を取られたら、どんなチームでも勝利するのは厳しい」
 
 それでも「後悔なんて微塵もない。素晴らしい選手たちの戦いを称えてほしい」と話したダリッチ監督。ルカ・モドリッチやマリオ・マンジュキッチ、イバン・ラキティッチら名手たちがキャリアのピークを迎え、今大会はひとつの集大成だった。これからは抜本的な世代交代が求められる。
 
 続投濃厚の智将は、ふたたびバルカンの雄をどんな精鋭軍団に仕上げていくのだろうか。実に興味深い。
 
 
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