「僕らはルーツが違うけど…」決勝MOMのグリエーズマン、“一致団結”で成し遂げた世界制覇に感涙【ロシアW杯】

2018年07月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

PKの瞬間に脳裏に浮かんだ“英雄”ジダンの姿。

W杯トロフィーを掲げて、世界制覇を喜んだグリエーズマンは、2点に絡む殊勝な活躍を披露した。 (C) Getty Images

【7月11日・ルジニキ|決勝 クロアチア 2-4 フランス】

 フランスの史上2度目の世界制覇に貢献した点取り屋は人目をはばからずに号泣した。アントワーヌ・グリエーズマンである。

 立ち上がりの18分に自らが蹴ったFKからマリオ・マンジュキッチのオウンゴールを呼び込んで先制点をもたらしたグリエーズマンは、同点とされた直後の38分にイバン・ペリシッチのハンドによってもたらされたPKを難なく決めてもみせた。

 後半は攻勢に転じたクロアチアに押される時間帯が増えるなかで、速攻などで好機を演出した背番号7は、4-2という差をつけての戴冠に大きく貢献。国際サッカー連盟のマン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。

 試合前には、「僕は世界王者になるために全てを尽くす。国中のみんなに僕らがやれると信じてもらいたい」と必勝宣言をしていたグリエーズマン。それだけに思うところもあったのだろう。試合終了直後には、ピッチにできた仲間たちの歓喜の輪を離れ、一人で大粒の涙を流して感慨に浸っていた。

 試合後、フラッシュインタビューでグリエーズマンは、想いの丈をこぼした。
 

「正直に言って、僕はいまどこで、何をしているのか分からない。それぐらいに本当に幸せだ。スコア以上にとても難しい試合だったし、クロアチアは手強く、良い試合をしていた。でも、僕らは、なんとかして試合で違いを作ることができた。

 チームメイト、コーチたち、テクニカルスタッフ、メディカルスタッフを含めた全員を誇りに思う。僕らは本当に団結したグループだった。僕らは信じられないことを成し遂げたんだし、しばらくは歴史を作った余韻に浸るつもりだ。そして、明日は家族、そして全フランス国民と一緒にパーティーを開く」

 また、勝利を大きく手繰り寄せたPKについてもグリエーズマンは振り返っている。蹴る直前、その脳裏に浮かんだのは偉大な英雄の姿だった。

「とても緊張したし、簡単じゃなかったね。ジダンのようにパネンカ(※チップキックのように浮かすPK)をやろうとしたんだけど躊躇したよ(笑)。だから、僕は普通に蹴ることにした。それがきっと良かったんだろうね」

 アフリカ系やラテン系など様々なルーツを持った個性豊かな人材が揃うフランス。それがゆえに行き違いが絶えず、グループでの内紛が原因で醜態をさらすことも過去にはあった。2010年の南アフリカW杯では、指揮官のレイモン・ドメネクと数人の選手たちが衝突。前代未聞の練習ボイコットが物議を醸した。

 そうした過去の問題を振り払い、ようやく掴んだ悲願の世界制覇だ。グリエーズマンは、「僕らはそれぞれが違うルーツを持っていて、様々な道を歩んできた。だけど、愛しているのはフランスだ」と口にし、あくまでチームとして有終の美を飾れたことを勝ち誇っている。

 文字通り"一致団結"となって世界の頂点に立ったフランス。その牙城は、しばらく崩れることがなさそうだ。
 
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