長谷部誠は厳しさを求めた。チームメイトにも、そして監督にも【西野ジャパン23戦士のストーリー#11】

2018年07月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

自身3度目のワールドカップは「正直。こんなに落ち着いていていいのかというくらい、落ち着きを感じていた」

ピッチ内外でチームをまとめた長谷部。偉大なキャプテンは大会後に代表引退を表明した。(C)Getty Images

 ビルドアップで前線に効果的なパスを供給し、身体を張った守りで貢献して見せた。ボランチの主力であり、主将としてはピッチの内外でチームを整えた。10年の南アフリカ、14円のブラジルに続く自身3度目のワールドカップ。34歳のベテランは「正直。こんなに落ち着いていていいのかというくらい、落ち着きを感じていた。それは過去2大会の経験から来ているものだと思う」と、心は熱く、頭は冷静にボールを追った。
 
 大会開幕の約2か月前にハリルホジッチ前監督が電撃解任され、西野監督が後任に。急ピッチでのチーム作りを余儀なくされるなか、長谷部が果たした役割は大きかった。コーチ陣、分析スタッフとともに、ミーティングで使用する映像の編集にも関わった。特徴的なシーンを切り取るの際の助言だけでなく、映像自体の時間を短縮してはどうかと提言もした。
 
「限られた時間の中で戦術などを詰めていかないといけない。選手たちは頭がいっぱいになる。負担を少なくできるように、コミュニケーションを取りながらやっている」
 
 選手とコーチ陣の間に入って、チーム作りが円滑に進むように尽力した。
 
 オーストラリアでの直前合宿中は、「あれをやっておいたら良かった、ということがないようにして、開幕を迎えたい」と何度も口にした。選手の意見を尊重して戦術を構築する西野監督のスタイルを受けて、チームメイトには「監督が選手をリスペクトしてくれて、選手が多くを作っていくなら、そこには厳しさを求めてやっていかないといけない」と強調。一方で、西野監督には「選手の意見を集約したうえで、最後は監督がしっかり決断してほしい」と求めた。
 
 10年の南アフリカ大会はゲームキャプテンだった。14年のブラジル大会に続き、今大会にもチームキャプテンとして挑み、下馬評を覆す2大会ぶり3回目の決勝トーナメント進出。開幕前に語っていた「世論を覆したい」という言葉どおり、集大成と位置付けた大舞台で日本列島を沸騰させた。
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