自分たちのサッカーを取り戻し「賭け」に勝利。香川のトップ下復帰が分岐点に【16強、西野ジャパンの評価を問う#4】

2018年07月13日 加部 究

究極の開き直りで最後は収穫を得た

トップ下で起用された香川は、持ち前の技巧を発揮。結果として攻撃に連動性が生まれた。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 西野ジャパンがロシアでの冒険を終えたタイミングで、サッカーダイジェスト誌ライター陣7名に緊急アンケートを実施。世界の「ベスト16」という結果を残した日本代表への評価、「ベスト8」の壁を超えるためには何が必要なのか、そして次期日本代表監督には日本人が相応しいか? この3点について意見を伺った。
 
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回答者:加部 究(スポーツライター)
 
Q.西野ジャパンのロシアW杯評価(100点満点中)
A.90点
 
 西野朗監督は誰よりも日本の長所、可能性を信じ、大胆に前向きな戦術を貫き、空前の強運を引き寄せた。監督交代時には、大半の関係者が前任者と同じように堅守からのカウンターしかアイデアを持ち合せていなかったが、敢えてメンバーも含めて4年前の「自分たちのスタイル」を取り戻し、ことごとく賭けに勝利。すべての批判を背負う覚悟を決めた究極の開き直りで、最後は強国との死闘という収穫を得た。
 
 ただし本大会への回答を見つけたのがテストマッチ最終戦で、さすがに準備不足が否めない部分もあった。香川真司のトップ下復帰が連動性を引き出す分岐点になっただけに、ポーランド戦も2トップではなく大島僚太の起用、もしくは事前に代役(清武弘嗣か、小林祐希)を選んでおけば、物議を醸す展開を避けられたかもしれない。

 ただラウンド16に備えてターンオーバーに踏み切る腹の据え方には凄みがあり、結果論だとしても、この時点で最適の指揮官だったことは疑いようがない。
 
 
Q.日本が8強入りするために最も必要なことは?
A.普及と育成指導の改革
 
 参加32か国中でもサッカーがNO.1でないのは3か国のみ。子どもたちが飛びつく魅力を発信するとともに、サッカーを選んだ子が競技を嫌いにならない指導環境の整備は不可欠。真の8強には数十年単位の改革が要る。
 
 
Q.ロシア後の監督も日本人にするべきか?
A.NO
 
 必ずしも日本人に限定する必要はない。まず明確な指針を描ける技術委員長が就くことが大前提で、実は西野朗氏は適任だったかもしれない。そのうえで日本独自の長所や可能性に着眼するアイデアマンを丹念に探すべき。
 
※『サッカーダイジェスト』7月26日号(7月12日発売)より転載。
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