「コメディのようなミス」と痛烈批判を受けた川島永嗣が、それでも見せた意地のセーブ【西野ジャパン23戦士のストーリー#5】

2018年07月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

川島の好守がなければ、日本の決勝トーナメント進出は消えていた

初戦と第2戦で痛恨のミスをした川島は、批判を受け止めて第3戦で指揮官の期待に応えた。(C)Getty Images

 第2戦のセネガル戦までは、非常に厳しい内容だった。3大会連続で日本の正GKを任されながら、ミスを連発してしまったのだ。
 
 初戦のコロンビア戦では、壁の下を抜かれた直接FKへの反応が遅れ、ゴールを割られた。試合前の打ち合わせでは、壁に入った選手は飛ばないと確認していた。キックの瞬間にジャンプしてしまった壁の選手にも非があるとはいえ、周知徹底の不足は最終的にGKの責任だ。
 
 続くセネガル戦では、11分に目を覆いたくなるような判断ミスを犯してしまう。威力のない正面のシュートに対し、キャッチングではなくパンチングを選択する。しかし、中途半端に弾いたボールは詰めてきた相手選手の足に当たり、ゴールに吸い込まれた。FIFA公式サイトから「コメディのようなミス」と酷評される痛恨の失点。ネット上では「エカテリンブルク(試合開催地)の喜劇」「川島、それはないって」などと騒ぎ立てられた。
 
 30分に相手FWのニアングと1対1になるピンチを防ぎ、意地は見せた。それでも「立ち上がりの自分のミスで試合を難しくしてしまった。チームメイトのおかげで引き分けることができた」と、出てくるのは反省ばかり。パンチングのミスには、西野監督も「難しい対応ではなかったが、ああいう判断をした。非常に残念」とバッサリ。そのうえで「その後のリカバリーは永嗣らしい。修正してピンチも救ってくれた」とフォローした。
 
 指揮官の信頼に応えたのは、3戦目のポーランド戦だ。32分には右からのクロスに頭で合わせたグロシツキの決定的なシュートを、ぎりぎり掻き出すスーパーセーブ。81分にはオウンゴールになりかけた味方のクリアを、左手一本で弾き出した。どちらかひとつでも失点となっていたら、日本の決勝トーナメント進出は消えていた。
 
 惨敗を喫した14年ブラジル大会後は、苦難の連続だった。所属クラブを失なった時期もある。苦しみや批判を乗り越え、川島は日本代表の正守護神としてベスト16まで辿り着いた。
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