「土壇場でロシアを救ったのに…」英雄になり損ねたフェルナンデスに称賛と落胆の声【ロシアW杯】

2018年07月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

延長後半で同点ゴールを決める活躍

延長後半に同点ゴールを叩き込み、スタジアムに特大の歓喜をもたらしたフェルナンデス(左)だったが。(C)Getty Images

 120分を戦い終えて2-2。ロシア対クロアチアの準々決勝はPK戦にもつれ込み、これを4-3で制したクロアチアが、ベスト4へ駒を進めた。

 この試合の延長後半、絶体絶命と思われたロシアを救ったのが、ブラジル出身の攻撃的な右サイドバック、マリオ・フェルナンデスだった。

 1点ビハインドの状況で迎えた115分、だれもがクロアチアの勝利を確信していたこの時間に、FKから力強いヘッドを叩き込んだのだ。

 米スポーツ誌『Sports illustrated』は、このプレーを「みずからのヘディングでロシアを窮地から救い出した」と称えた。

「フェルナンデスは脱落の瀬戸際にあったホスト国を踏み留まらせた。1点リードされた状況で迎えた115分、アラン・ザゴエフのフリーキックからゴールを奪い、試合を振り出しに戻した」(『Sports illustrated』)

 だがその後、PK戦でロシアの3人目のキッカーとして登場したフェルナンデスは、これを失敗。右足で蹴ったシュートはゴールマウスを外れ、左に大きく逸れていった。そして、彼を含むふたりが失敗したロシアは、PKスコア4-3でクロアチアに敗れた。

 同誌は、フェルナンデスが決めた値千金の同点ゴールに対し、「最終的には意味がなかった」と厳しく評したが、「彼の115分の同点ゴールに、ホームの観客は狂喜乱舞した」と、サポーターをもっとも喜ばせた瞬間だったことを高く評価。同時にロシア代表を、今大会で最大のサプライズを巻き起こしたチームであると称賛した。
 また、香港の英字新聞『South China Morning Post』は、「ブラジル出身のフェルナンデスは延長戦で試合を振り出しに戻したが、最後はイバン・ラキティッチがクロアチアを勝利に導いた」と死闘を振り返った。

「フェルナンデスは(PKの)キックに慎重になりすぎたのかもしれない。みずからヒーローになるチャンスを潰してしまった。とても残念だが、クロアチアの手堅さはロシアを上回っていた」(『South China Morning Post』)

 クロアチア戦前のインタビューでは、「僕らにできることはファンに喜んでもらえるように頑張ることだけ」と話していたフェルナンデス。ロシア・サポーターの間で、この"英雄になりかけた男"に対する評価は割れているようだが、ソチのフィシュト・スタジアムにいたサポーターからは、温かい拍手が送られたようだ。
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