「マラドーナやジーコとの違いは…」「彼をマークするなら…」 イタリアの元“殺し屋”DFがネイマールを語る【ロシアW杯】

2018年07月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

大袈裟な反応を繰り返すエースについて元エースキラーは…

先達から批判や忠告、提言を受け続けるネイマール(写真右)。写真左は82年W杯でジーコ(10番)を密着マークするジェンティーレ(6番)。1アシストは許したが、他では封じ切った。 (C) Getty Images

 ロシア・ワールドカップは7月6日から準々決勝に突入。ブラジルは日本を決勝トーナメント1回戦で下したベルギーと対戦する。
 
 試合ごとに調子を上げている優勝候補のブラジルだが、そのエースであるネイマールも、先のメキシコ戦では先制点を挙げて通算2点目をマーク、さらにフィルミーノの追加点をアシストするなど、こちらも徐々に輝きを増している。
 
 しかし、彼について今、最も大きな話題となっているのが、その過剰とも言える倒れ方と痛がり方。クリスチアーノ・ロナウドのように「ファウルを避けるために仕方のない行為」と擁護する者は少数派で、多くの人々がこれに対しては批判と嘲笑を浴びせている。
 
 とりわけOBは辛辣であり、「大した役者だ」「サッカーを貶める行為」などの厳しい声が寄せられている。
 
 そんななか、元イタリア代表DFで、1982年スペインW杯で優勝メンバーの一員となったクラウディオ・ジェンティーレも、ネイマールについて言及した。
 
 これが興味深いのは、ジェンティーレが選手時代は「殺し屋」の異名を取り、相手のエースを徹底的にマーク、ターゲットを無力化するためにはファウルを厭わないタイプの選手だったことだ。
 
 82年大会では、2次リーグのアルゼンチン戦でディエゴ・マラドーナを何度も転倒させ、続くブラジル戦ではジーコに密着、カナリア色のユニホームを、大きく引き裂いてしまったほどだった。この南米の2人の背番号10を徹底的に苦しめた結果、イタリアは予想を覆して2次リーグを勝ち抜き、優勝まで突き進んだのだった。
 
 このような歴史に残る「エースキラー」が、大袈裟な反応を繰り返す現在最高のエースをどう思うのか――。これついてジェンティーレは、自身が対峙したマラドーナ、ジーコとの比較というかたちで答えている。(イタリア『Gazzetta dello Sport』紙より)
 
「マラドーナ、ジーコはともに、何かをでっち上げたりはしなかった。だがネイマールは、試合を誤った方向に進めようとする。我々の現役時代は、ファウルを受けても事が大きくなることはなかったが、現在は肩を少し叩かれただけで、頭を(叩かれたかのように装って)手で押さえるような選手が多すぎる」
 
 自身も現役時代のプレーについて賛否両論渦巻いたことがあるジェンティーレだが、引退後はイタリアU-21代表監督などを務め、若い選手を指導した彼は、ネイマールに対して「自身が人々の見本にならなければならないということ忘れている」と指摘し、マラドーナ、ジーコと比較して「まだ、彼らのレベルには達していない」と断言した。
 
「もしあなたが、ネイマールをマークするとしたら?」という興味深い質問については、手段を選ばず徹底的に潰す、ではなく、「何とも言えないが……とにかく、彼が真剣になるように説得するだろう」と、同じ選手目線ではなく、指導者側からの大人な回答をしている。
 
 ネイマールは一連の批判について、全く意に介していないようだが、この先、彼のピッチ上での振る舞いがどうなるかに注目していきたい。
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