父親誘拐の事実を明かさず大一番へ…ナイジェリア代表MFが衝撃の顛末を告白!【ロシアW杯】

2018年07月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

「不必要な混乱をもたらしたくなかった」

アルゼンチン戦後の会見に登場したミケル主将。さまざまな想いが入り乱れて……時折こうして頭を抱えていた。(C)Getty Images

 ナイジェリアの国民的英雄が、衝撃の事実を明かした。
 
 現地時間7月2日、ナイジェリア代表MFのジョン・オビ・ミケルは、ロシア・ワールドカップ期間中の6月26日に実父が誘拐されていたと告白。それを隠したまま、同日に行なわれたアルゼンチン戦のピッチに立っていたという。米スポーツ専門チャンネル『ESPN』の取材に応え、事の一部始終を赤裸々に語った。
 
 グループリーグ最終戦、アルゼンチン戦のキックオフ4時間前だった。犯行グループからミケルの元に連絡が入り、父親のパ・マイケル・オビを誘拐した、身代金1000万ナイラ(約300万円)を支払えば解放する、警察に知らせれば即銃殺すると脅された。

 事件が解決したのは昨日、7月2日の火曜日だ。ナイジェリア南東部のエヌグで、警察が犯行グループのアジトに突入。銃撃戦となり、犯行グループは人質を捨てて森に逃げ込んだという。救出されたミケルの父親は銃による被害こそ受けていないものの、犯人たちから暴行を受け、数針を縫う怪我を負っているという。ミケルはすでに身代金を入金していた。

 
 スーパーイーグルス(代表チームの愛称)の主将は、苦しい胸の内を語った。
 
「僕自身はとてもショックを受けていた。でも、チームの誰にも言えなかったし、言うつもりもなかった。僕たちは大事なアルゼンチン戦を控えていたし、そのことによって不必要な混乱をもたらしたくはなかったからね。もちろん監督(ゲルノト・ロア)にも明かさなかったよ。1億8000万人のナイジェリア国民の期待を背負っているんだ。とても重要なゲームだったからね。ただ試合に集中しよう、集中しようと、そのことだけを考えていた」
 
 ナイジェリアは終了間際の失点で1-2の敗北を喫し、グループリーグ敗退が決定。ミケルはインサイドハーフで先発し、フルタイム出場を果たしていた。どんな精神状態でプレーを続けていたのか。他者が推し量れるものではないだろう。
 
 試合後にミケルはすぐさま自宅があるロンドンに戻り、事態の推移を見守っていたという。気が気ではない日々がおよそ1週間続いたが、ようやく火曜日に父親の保護が確認され、ミケルも空路ナイジェリア入りした。所属先である中国スーパーリーグ、天津泰達への再合流は大幅に遅れる予定だ。
 
 実はミケルの父親は2011年にも自宅周辺で誘拐されており、今回が2回目。当局はワールドカップ開幕前から警備を強化していたが、再発を防げなかった。
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