「進むべき道を示せた」「惜しいじゃダメ」原口元気が抱く二つの相反する想い【ロシアW杯】

2018年07月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

「惜しいで終わらせたくなかった」

サポーターへの挨拶が終わっても、涙が止まらない。原口は4年後の飛躍を誓った。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

[ロシアW杯決勝トーナメント1回戦]日本2-3ベルギー/7月2日/ロストフ・アレーナ
 
 前半の劣勢は、背番号8の一振りで覆った。
 
 0-0で迎えた48分、カウンターから柴崎岳のスルーパスに反応した原口元気は、いったんはシュートを躊躇したかに見えたが、うまく間合いを測って身体を倒しつつ、ファーサイド側へ絶妙なシュートを放つ。 

「切り返そうかなと思ったけど、相手がそんなに来る気配がなかったので、切り返さないでそのまま打った」というシュートは、名手ティボー・クルトワが伸ばした右手をすり抜け、ゴール左のサイドネットに突き刺さった。
 
 今大会は持ち前の突破力やフィニッシュなど、アタッキングサードでの働きよりも、絶え間ない運動量でチームを支える黒子的な役割が目についた。そうしたなかで奪ってみせた値千金のゴールに対して、「自分の良さが出たと思いますし、何分も走っていたなかで、なかなか自分のところにはチャンスが来てなかったので、来た時には決めようというか、ずっとそういう気持ちで」と、求められる走力を維持しつつも、虎視眈々とゴールを狙っていたことを窺わせた。
 
 手に届きかけた「ベスト8」の夢は、後半アディショナルタイムの失点でその手から零れ落ちたが、「今回のワールドカップに関しては、日本が進むべき道を示せたんじゃないかと思うし、クオリティを上げて、さらに4年後に向けて個人としても、もうひとつ上に行けるように」と話すように確かな手応えを掴んだ。その自信を糧に、さらなる精進を重ねて4年後の8強入りを誓う。
 
 ただ一方で、逆転負けの悔しさはいつまでも込み上げてくるようで、「いや、まあでもね……。惜しいじゃダメだと思ってたし、正直、自分として一歩前に進めた感じはあるけど、本当に惜しいじゃダメだと思って入った試合だったから、惜しいで終わらせたくなかった」と、心の中には晴れないモヤモヤが残る敗戦に。そうした消化不良の想いは、やはり4年後のカタールで晴らすしかないだろう。
 
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