本田圭佑は「W杯優勝」の夢を後輩たちに託す

2018年07月03日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

「やれることはやった、ベストを尽くしたという想いはあります」

試合後の本田は泣きじゃくる後輩たちを労って回っていた。(C)Getty Images

【ロシアW杯・決勝トーナメント1回戦】日本2-3ベルギー/7月2日/ロストフ・ナ・ドヌ
 
 試合終了のホイッスルが鳴ると、本田圭佑は顔に手を当ててうつむいていた。そして、視線を上げて少し佇んだ後、「フッ」と息を吐くと、昌子源や乾貴士、酒井宏樹など泣きじゃくる後輩たちを優しく労って回っていた。
 
 32歳で迎えたロシアW杯は、絶対的な主力だった過去2大会と違って途中出場が役割。その中でグループリーグにおいて1ゴール・1アシストを記録し、このベルギー戦でも試合終了間際に直接FKで惜しい一撃を放ったが、常々公言していた"優勝"という目標は今回も果たせなかった。しかし、後悔はないという。
 
「最後に決められなかったのは自分の実力だし現実。僕はW杯に3度出させてもらって、今回は途中出場という役割でしたけど、やれることはやった、ベストを尽くしたという想いはあります。悔いはないです」
 
 だから、夢は後輩たちに託す――。その想いから出た試合後の行動だったのだろう。
 
「僕のW杯はこれで最後になる。自分がずっと発言している優勝というものを、今日活躍した若い世代にしっかり引き継いでもらいたい、そして引き継いでもらえるんじゃないかという期待感がある」
 
 そして、後輩たちには自身がやってきたような"あえて口に出すこと"を求めたいという。どんなに「無理だ」「無謀だ」「夢を見るな」とバッシングされても、「優勝するんだ」と強い気持ちで言い続けることを。
 
「ただ、まだ"優勝"ということを口にする若手がいない。今日出て活躍した選手の誰かが、誰に何と言われようと優勝と言い続ける誰かが、次の代表を引っ張っていくんだろうなと思いますし、それに相応しい奴は何人か見つけている。頑張ってほしい」
 
 金髪のカリスマの想いを引き継ぎ、日本代表を新たに牽引していくのは、はたして誰なのだろうか。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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