西野監督が肌で感じた世界との差は「あとわずか」か、もしくは「分厚い壁」か

2018年07月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

対策はしているけれど、対応できない現実がある

ベスト8進出をかけてベルギーと激突。試合の入りこそ良かったものの、時間が経つにつれて押し込まれ始めた。 写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の残したチームを引き継ぎ、日本代表チームを導いてきた西野朗監督。試合後の会見で2大会ぶりのベスト16、そして大会2か月前に急きょ代表監督に就任してからのチーム作りと、ハリルホジッチ前監督に対する考えを明かした。

「このチームを率いるにあたって、ハリル監督がずっと積み上げてきたスタイル、チームにもたらしたものというのは大きいと思いますし、私自身も継承すべきところは継承しなければいけないと考えていました。ある程度選手たちに染みついている部分もあります。

 ハリル監督がおっしゃっていたコンタクトの強さや縦への速さは、(世界で戦う際に)間違いなく必要とされるところですし、選手たちもそういう感覚は持っている。そこに私なりの変化というかアクセントを加えて、選手が理解してくれた。その成果だと思います」

 西野監督は、世界との差は「あとわずか」だと感じたというが、とはいえベスト8の壁の厚さを改めて思い知らされた大会だった。

 会見中、監督は何度も「勝ち切れなかった」と口にした。2点目を奪った瞬間に、勝った、という思いは監督の頭にも過ぎったのだろう。

 だからこそ、失点が悔やまれる。
 この試合だけではなく、日本代表の抱える根深い問題として、セットプレーによる失点をどう考えているかという質問には、注意深く口を開いた。

「もちろん、セットプレー対策のプランニングの段階では、映像を使ってここでポジショニング、初動を抑える、オフサイドトラップなど、皆で共有している。けれど、実際はそこでフィジカルだけではない、メンタリティや駆け引きだとか、具体的に10cm身長が違う相手とやる時に必要なことがある。それに対応できず、GKの前まで押し込まれたら我々は勝てない」

 つまり、対策を立てていても、対応しきれていないという事実がある。

「ベルギーには、最後のコンマ数秒、数cmの違いでやられてしまった。これは我々が繰り返している失敗ですが、どう対応すべきか、今一度考えなければならない」

 ただし、こうしたことを実感できるのが、ワールドカップの意義だとも西野監督は言う。

「これは、日本のA代表だけではなく、その下の世代も世界に出れば直面すること。これだけやってまだ足りないということは、日本サッカー界全体で取り組まなければならない問題なのだと思う。今回のワールドカップの戦いを次に繋げていけるかどうかというところが、日本のサッカー界にとっての、大会の意義であるわけなので。4年後に今大会のチャレンジが成功といえるようにして欲しいなと思います」

 世界との違いを肌で感じたという西野監督の去就は未定されている。

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