「柴崎、香川、乾が必要だった」西野監督が明かした“テクニシャン同時起用”の狙い

2018年06月20日 サッカーダイジェスト編集部

「ポジショニングでの優位性を持たなければいけないことを伝えた」

様々なトライを重ねたうえでコロンビア戦のスタメンを決めたという西野監督。その選択が下剋上を生み出した一因となった。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

[ロシアW杯グループH] 日本2-1コロンビア/6月19日/モルドビア・アレーナ(サランスク)
 
 日本代表は6月19日、ワールドカップの初戦でコロンビアを2-1で下し、見事に番狂わせを演じてみせた。
 
「スタートから非常にアグレッシブに入れた。そして数的優位な状況で試合を進めることができた」と語ったのは西野朗監督だ。さらに指揮官は、前半と後半を具体的に振り返る。

「選手にはハーフタイムには数的優位がすべて優位な状況ではなく、ポジショニングでの優位性を持たなければいけないことを伝えた。なんとなく攻守にアドバンテージがあるような戦い方で、得点をしてからコロンビアにポジショニングでの優位性を与えて、優位に進めることができなかった前半でした。そして、前半以上に動き、優位なポジショニングを取ったことで、ポゼッションもかなり高まり、ファルカオをはじめ相手の前線の選手たちのエネルギーを失わせた。そうやって自分たちでボールをコントロ-ルできた後半だったと思います」
 
 アップセットを起こせた主な要因は、間違いなく開始3分で退場者を出したコロンビアのハプニングだ。とはいえ、それだけではない。巧みなメンバー選考をした指揮官の手腕も実は大きく働いていたと言える。
 
「数的な優位というのは決してゲームの中で優位ということではない」と言う西野監督は、このコロンビア戦のメンバー選考に最後まで頭を悩ませた。「今まで『すべて初戦のコロンビアに対して』と言ってきました。自分の中で固定したメンバーで今日を迎えたわけではなく。いろいろテストをしたうえでメンバーやシステムを決めたいと思っていました。パラグアイ戦までシステムも選手もトライしたなかで、最後は中盤での攻防で優位に立てるか立てないかで、今日のキャスティングを決めた」という。
 
 コロンビア戦のスタメンでとりわけ興味深かったのが中盤の構成だ。2ボランチに長谷部誠、柴崎岳。右サイドハーフに原口。そして12日のパラグアイ戦で活躍した香川と乾をそれぞれトップ下と左サイドハーフに配置した。
 
「柴崎、香川、乾、そういう自分でもグループでもボールをある程度うまく扱える選手。そういう選手が必要だった。リアクションだけにならず、『ディフェンス、ディフェンス』という展開で試合を進めて、最後にカウンターで決め切る時には、また別のキャスティングだったと思いますが、コロンビア戦では中盤である程度イニシアチブを取りたいというところで、この中盤の構成にした」
 
 試合後、ポゼッションに長けた3選手を先発起用した意図を明かした。単に自陣にブロックを敷いてカウンターを狙っていただけでは、10人のコロンビアの攻撃でさえ最少失点に抑えられたかは分からない。中盤での主導権を握ろうとしたからこそ、ボールを握る時間が生まれ、数的優位を活かせたのだろう。指揮官が土壇場で見せた大胆采配は、称賛されてしかるべきものだ。

【データで見る】コロンビア×日本|詳細マッチスタッツ

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