「批判に影響はされない」と指揮官…ロシア、悲観的空気のなかで開幕戦へ。「史上最弱の開催国」回避なるか!?

2018年06月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

好材料も多いことを強調したが…

前日会見に臨んだチェルチェソフ監督。先日はFWジューバもメディアや国民に対して団結を呼びかけたが、どれだけ後押しを受けられるかということも、開催国の成績に影響を与えるかもしれない。 (C) Getty Images

 6月14日、ついに4年に一度のサッカーの祭典が幕を開ける。
 
 オープニングゲームをサウジアラビアと戦うのは、開催国のロシア。前日にプーチン大統領がFIFA総会において「夢が叶った」とスピーチを行なったが、肝心の代表チームには不安材料が多く、前日会見においても世界のメディアからはネガティブな質問が多く浴びせられた。
 
 大会開催が決定してから8年、ロシア代表はなかなか強化が進まず、昨年の自国開催のコンフェデレーションズカップでは1勝2敗でグループステージ敗退、以降は8試合のテストマッチを行なったが、通算成績は1勝3分け4敗で、今年に入ってからは1分け3敗……。直近の試合はトルコ戦で1-1の引き分けに終わった。
 
 このような状況で、国内が悲観的な空気に包まれていることについて感想を訊かれたチェルチェソフ監督は「批判を受けるのも仕事。我々は今、なすべきことに集中している。批判に影響を受けることはない。これを激励だと捉え、ポジティブに仕事を進めていきたい」と意に介さない。
 
 一方、「(批判記事を)読んだことはない。大会が終わったら目を通すよ」とジョークでかわしたMFサメドフは、自身が数少ない前回大会経験者(6人)であることにも触れ、「4年前の私はすでに29歳だったが、それでも初のW杯はとても不安だった。しかし今は、とても穏やかでいられる」と精神的な強みを示した。
 
 1月に国内最高のDFといわれるジキアが左膝の靭帯断裂というアクシデントに見舞われるなど、チェルチェソフ監督にとってはチーム作りにおいて誤算も多かったが、MFクジャエフの状態が上がっていること、MFアントン・ミランチュクの成長、ブラジル出身のDFフェルナンデスの適応ぶりなど、好材料も多いことを、指揮官は強調している。
 
 対戦相手のサウジアラビアについて、チェルチェソフ監督は「トレーニングと本番では全く違うが、しっかり対策を考えている」と答え、サメドフは「ドイツ戦、イタリア戦のプレーを見たが、とてもテクニカルなチームだ。うまく彼らを封じていきたい」と意気込む。
 
 最後にロシア国民へのメッセージとして、2人は「言葉ではなく、プレーでインスパイアしたい」(チェルチェソフ監督)、「自分たちのことを誇りに思ってもらえるようなプレーがしたい」(サメドフ)という言葉を残した。
 
 過去の大会、開催国は地の利を活かし、評価できる成績を残してきた。唯一、グループステージを突破できなかったのは、2010年大会の南アフリカだが、ウルグアイ、メキシコ、フランスという強敵と同組だったことを考えれば、フランスを下し、メキシコと同勝点での3位は決して悪いものではなかった。
 
 むしろ、最も国民を失望させた開催国ということでは、1982年大会のスペインが挙げられる。北アイルランド、ユーゴスラビア(当時)、ホンジュラスという恵まれた組み分けといわれながら、ホンジュラスに辛うじて引き分け、ユーゴには疑惑の判定に助けられて勝利も、北アイルランドに打ち負かされた。
 
 何とか進出した2次リーグでは、初戦で西ドイツ(当時)に1-2で敗れて早くも準決勝進出の夢が潰え、スタンドに空席が目立つなかで行なわれた最終戦のイングランド戦もスコアレスドローで終わるなど、最後までパッとしないまま大会を終えている。
 
 この時のスペインと比べれば、戦前の期待値が低い分、仮にロシアが早期敗退しても国民に与える失望はさほど大きくないかもしれないが、「史上最弱の開催国」のレッテルを貼られ、長く不名誉を背負い続けることになる。それを回避するためにも、この開幕戦は絶対に落とせないが、果たして!?
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