「ゴールを持っているのは、イアゴだ」 チュニジア戦の決勝弾でスペインFWアスパスの株が急上昇!

2018年06月10日 山本美智子

スペイン各紙がレギュラーへの昇格を推す。

チュニジア戦で豪快な左足の一撃を叩き込んだアスパス。存在こそ地味だが、その実力はだれもが認める点取り屋だ。(C)Getty Images

 ロシア・ワールドカップ開幕前のスペイン代表にとっての最後のテストマッチは、FIFAランキング21位のチュニジアを相手に行なわれた。

 スペインがワールドカップの初戦でポルトガルと5月末に戦い、2-2で引き分けているチュニジア。イアゴ・アスパスのゴールでスペインはなんとか1-0の勝利を手にしたものの、現地メディアは、「本大会前に疑いが深まるスペイン」(La Vanguardia紙)、「友好的すぎるスペイン」(EL PAIZ紙)など、概ね懐疑的だ。

 4日前のスイス戦を胃腸の不調で欠場したセルヒオ・ブスケッツがスタメンに戻ったにもかかわらず、スペインは前半、鋭いカウンターからチュニジアに数多くの攻撃チャンスを与えており、この件については各紙とも「反省に値する」と指摘している。

 ジュレン・ロペテギ監督はこの試合、コケの代わりにチアゴ・アルカンタラを、ジエゴ・コスタの代わりにロドリゴをスタメンとして起用。指揮官は試合後に「ワールドカップ前にできるだけ多くの選手を使いたかった」とスタメン変更の理由を語っているが、パスサッカーを得意とするスペインが、このチュニジア戦では、ボールを手にしていながらミスを繰り返すケースが目に付いたのは不安材料と言えるだろう。
 
 その一方で、各紙が絶賛していたのが、唯一のゴールを決めたアスパスだ。「うまくいかない時はイアゴ」(MARCA紙)、「アスパスのゴールが少しのプラス材料」(ムンド・デポルティボ紙)、「ゴールを持っているのは、イアゴ」(ABC)などの見出しを立て、この日は途中出場したセルタの点取り屋を主力にと望む内容の記事を寄せている。

 ロペテギ監督自身は、「まさにW杯そのものの試合だった」と試合後に話し、苦しい展開になってもスペインが負けなかったことを評価しているが、殊勲者アスパスはW杯に関して、「僕らは合宿前のほうが良い感触を持っていた」との感想を漏らしている。

 この「気づき」が吉と出るか、凶と出るか。泣いても笑っても、数日後には、現欧州王者であるポルトガル代表との大一番がスペインを待ち受けている。

文●山本美智子(フリーランス)
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