「圧倒的な存在感!」スイス戦で再三好機を演出した“神戸”イニエスタを地元紙が絶賛!

2018年06月05日 山本美智子

ポルトガルとの初戦に向けて準備は着々と。

チームが低調なパフォーマンスを見せる中、先日ヴィッセル神戸への移籍を決めたイニエスタは状態の良さをうかがわせた。(C)Getty Images

 スペイン代表は6月3日、スイスとのテストマッチに臨み、1-1で引き分けた。この結果を受けて、地元スペインのメディアは、「スイスがワールドカップ前に小さな警笛を鳴らす」(Marca紙)、「精彩を欠いたスペイン、スイスを前にドロー」(Mundo Deportivo紙)、「スイスがスペインの熱狂に歯止め」(Sport紙)など、いずれも厳しい評価を与えている。

 それもそのはず、スペイン代表はここ最近、ベルギー、イタリア、イングランド、フランス、ドイツ、アルゼンチンなどの強豪を相手にしながらも、18戦無敗と向かうところ敵なしの強さを見せてきたからだ。無敗記録は「19」に延びたものの、すっきり勝ってほしかったというのが本心だろう。

 とはいえ、この試合に関していえば、いくつかのエクスキューズがつくのも事実だ。当日に胃腸の不調を訴えたセルヒオ・ブスケッツが欠場するアクシデントがあったこと(代役はチアゴ・アルカンタラ)、チャンピオンズ・リーグの決勝に出場したセルヒオ・ラモスとダニエル・カルバハル、そしてイスコの3人がいまだに合流していないこと、最終ラインで彼らの代役を担ったCBのセサル・アスピリクエタ、右SBのアルバロ・オドリオソラが、レギュラー組と意思の疎通がとれていなかったことなどが挙げられる。

 現地メディアもそのあたりの事情は把握している。そのため、見出しに比べると記事の内容はもう少しマイルドな仕上がりになっていた。
 
 この試合でもっとも注目を浴びたのは、Jリーグ移籍で話題を呼んでいるアンドレス・イニエスタだ。中盤のマエストロはスイス戦で最初の決定機を生み出すなど、終始アグレッシブなプレーを披露。地元メディアも「圧倒的な存在感だった」と絶賛している。

 実際にスペインは、そのイニエスタがベンチに退いてから中盤が崩れ、スイスにゴールを入れられたという見方が強い。4度目のワールドカップに挑む34歳のベテランMFは、本大会でも、スペイン代表の中盤を担うことになるのは、まず間違いないだろう。

 失点シーンに関しては、地元メディアはGKダビド・デ・ヘアのミスと断じている。だが、本大会までにブスケッツがベストコンディションを取り戻し、ピケとS・ラモスのCBコンビが戻れば、おそらく問題ないだろう。

 全体的に決定力を欠いていたとはいえ、オドリオソラが決めたゴールは、カルバハル不在の不安を吹き飛ばす結果となった。試合後にジョルディ・アルバは、「今回は1点しか奪えなかったが、僕らにはゴールを決めるに十分なクオリティーがある」と話している。

 また、左サイドで縦の関係を築くそのジョルディとイニエスタとダビド・シルバのラインも、しっかり機能していることが証明されており、しかもあと1試合、テストマッチが残っている(6月9日のチュニジア戦)。

「この手の試合、選手はだいたい50%程度の力で戦うもの。ワールドカップは目前、いまもっとも大事なのは、いいプレーをすることではなく怪我をしないことだ」と『Marca』紙のイバン・ペレス記者は言う。

 実際、今回の試合の結果をネガティブにとらえているファンやメディアは、ほぼ皆無に近い。スペイン代表はおよそ10日後のポルトガルとの初戦に向けて、着々と準備を整えていると言えるだろう。

文●山本美智子(フリーランス)
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