【番記者通信】不運に泣いたアトレティコ戦|ミラン

2014年02月25日 レナート・マイザーニ

決意に満ちたパフォーマンスで逆転8強を

アトレティコとの第1レグ終了後に「相手には本当にわずかなことしかやらせなかった。試合の半分以上は我々の方が上回っていた」と振り返ったセードルフ監督 (C) Getty Images

 不運だった。とにかく不運だった。たいてい不可抗力な“災難”が原因で敗れる時、チームはそれを言い訳にし、ネガティブなパフォーマンスや力量の限界といった真の問題は覆い隠さてしまうものだ。だが今回ばかりは、ミランはただ単に不運だった。

 アトレティコ・マドリーと対戦したチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦・第1レグ、0-1という結果は内容を反映したものではなかった。良い試合をしていたのは、ミランだった。2-0のリードで前半を折り返してしていても、まったくおかしくなかった。これが、我々イタリアメディアの一致した見解だ。そうなれば、前掛かりのアトレティコにカカやアデル・ターラブトがカウンターをお見舞いし、ミランの大差の勝利となっていただろう。

 だが、アンドレア・ポーリのヘッドはティボウ・クルトワの奇跡的なセーブに否定され、カカのシュートはクロスバーを叩いた。まったくの“不運”に泣かされたミランはリードが奪えず、終盤、ジエゴ・コスタにゴールを決められてしまった。

 正直、ベスト8進出は厳しいだろう。敵地ビセンテ・カルデロン(第2レグは3月11日)で、逆転のために必要な2-0の勝利は、簡単なミッションではない。

 もっとも、この第1レグでミランは、バルセロナとレアル・マドリーを抑えてリーガ・エスパニョーラの首位に立っていたアトレティコを、一方的に自陣に押し込めるこほどのパフォーマンスを披露したのだ。これは厳然たる事実だ。

 たしかに、この1試合でミランを評価するわけにはいかない。ここまでの体たらくは、フロックでもなんでもない。クラレンス・セードルフ監督の戦術、システムには改善の余地、いや、改善の必要性がある。

 とはいえ、ミランにとってCLは伝統的に相性がいいコンペティション。カカをはじめ、マリオ・バロテッリ、マイケル・エッシェン、ナイジェル・デヨンク、そして特大のポテンシャルを持ったターラブトと、一級品のタレントが揃っている。サン・シーロで披露した、決意に満ちたパフォーマンスをビセンテ・カルデロンに持ち込むことができれば、逆転での8強進出は夢ではない。

【番記者】
Renato MAISANI
レナート・マイザーニ
1985年カターニャ生まれ。2006年から地元紙やWEB媒体でキャリアを積み、ミラノに軸足を移して活動の場を拡げる。現在はイタリア国内の著名ポータルサイトの編集員。国外サッカーにも通じ、地元紙でフランス・リーグのレビューを連載中だ。

【翻訳】
神尾光臣
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中