[J１リーグ14節]磐田０-２神戸／５月12日／ヤマハ
 
「今シーズン一番悪い出来だと思いますし、オン・ザ・ボールの時のミスが多く出てしまった。交代で出た選手も含めて、ミスが多かった」
 
　完敗に終わった神戸戦後の記者会見。磐田の名波浩監督はそう試合を総括した。
 
　指揮官が語ったとおり、この日のチームは低調なパフォーマンスに終始した。連戦による疲労もあったはずだが、それ以上に神戸の堅守速攻が非常に機能していたことが要因だろう。特に２トップの渡邉千真とウェリントンは力強いプレーで攻撃を牽引。高さとスピードで起点となり、それぞれゴールを奪う活躍を見せた。
 
　昨季にリーグ最少失点を記録した磐田の最終ラインは、リーグ屈指の強固さを誇る。しかし、大井健太郎を中心とした３バックが試合を通して後手を踏んだように、神戸の２トップはまさに無双状態だった。
 

　そのパフォーマンスは名波監督に相当なインパクトを与えたのだろう。会見の最後に興味深い言葉を残して席を立った。
 
「ヴィッセルの２トップとFC東京の永井（謙佑）とディエゴ・オリヴェイラ、ふたりでコンビネーションを生み出せるこの２チームの２トップというのは、今の日本でトップじゃないかなと。『この２トップでやっていれば良かったのに』と（吉田）孝行に言ってきました」
 
　好調のFC東京を支える永井とD・オリヴェイラを引き合いに出し、その破壊力を称えた名波監督は、敵将の吉田監督にもその旨を伝えたという。今季の神戸は３トップを採用し、トップ下にポドルスキを置く形をメインとしている。磐田戦での２トップは、ポドルスキを怪我で欠く中で生まれたいわば"イレギュラーな形"だった。
 
　果たして、名波監督の言葉を受けた吉田監督は、次節以降も渡邉＆ウェリントンのコンビで戦うのか。７月に予定されるポドルスキの復帰後は、３トップへ戻す可能性も十分にあるだろう。ロシア・ワールドカップによる中断期間を挟み、吉田監督がどのような決断を下すか大いに注目だ。
 
取材・文●梶山大輔（サッカーダイジェスト編集部）