J初ゴール&ハットの快挙でも後悔… 仙台21歳MF茂木駿佑が偉業達成も硬い表情だったのは?

2018年05月10日 小林健志

連戦中もリーグ戦には絡めず「今まで出られなかった悔しさを前面に出そうと思った」

仙台で4年目を迎えた茂木が3得点の大活躍。チームを首位に押し上げる原動力となった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[ルヴァンカップ・GS5節]仙台4-2横浜/5月9日/ユアスタ

「2点目を取った時はいけると思いましたが…まさかでした」

 ルヴァンカップ・横浜戦でユース出身4年目の21歳、仙台MF茂木駿佑が、J初ゴールから27分間で今大会クラブ初のハットトリックを達成するという快挙を成し遂げた。

 J1リーグ戦は過密日程だったにもかかわらず、試合出場はゼロ。序盤は6試合でベンチ入りしていたが、ここ最近はベンチ入りすら無かった状況。同期の高卒4年目FW西村拓真がリーグ戦で6ゴールを決め、エースの風格を醸し出す中「自分を出せていなかった」と悔しい思いを抱えていた。ルヴァンカップは全試合先発出場していたが、目立った結果は残せず、渡邉監督も「正直、大きな変化は見受けられなかった」なかでの先発起用。「連戦で試合に絡めていなかったので、今まで出られなかった悔しさを前面に出そうと思いました」とピッチに立った。

 茂木は3-4-2-1布陣の右WBでの出場。「どうやって最終ラインの背後を取るか考え、(背後に出る選手が)オフサイドにかからないよう走り抜け、そこへ出すボールの角度、回転も細かく伝えたので、多くのチャンスを作れて、WBがシュートや可能性のあるクロスが出たのは喜ばしかった」と渡邉監督が会見後狙いを説明した通り、右サイドで相手DFラインの背後に出て、クロスやカットインしてのシュートで決定機を作ることが茂木に課せられた使命だった。「立ち上がりからどんどん前へ行こうという思いがありました」と果敢に攻撃に参加する姿勢が35分に実った。左サイドをMF金久保順がドリブル突破。「正直梁(勇基)さんに決めてもらおうと思った」と振り返った金久保の浮き球のクロスを、梁は右サイドからフリーで走り込んでいた茂木にパス。「梁さんが打つかと思いましたが、体も後ろを向いていたので『OK!』と言って譲ってくれました。梁さんにも感謝したいです」とベテランの配慮に感謝し、思い切って振り抜いた右足でのシュートはゴール右上に突き刺さった。
 
 しかし直後の39分、ゴール前で守備に参加していた茂木のクリアが、横浜オリヴィエ・ブマルに渡り同点ゴールを決められた。嫌な雰囲気が漂ったが、42分すぐさま自身のミスを帳消しにした。梁が前線へ出したボールが接触プレーにより、右サイドへ転がる。こぼれ球を拾った茂木は、接触プレーをファウルとセルフジャッジした横浜守備陣の対応の遅れを見逃さず、ペナルティエリア内にドリブルで進入。「速いボールを上げれば何かが起こると思い、正直クロスボールでしたが、入って良かったです」と鋭く放たれたボールは横浜GKの杉本大地が弾いて、ゴールへ吸い込まれた。

 そして62分、ゴールから約40m離れた位置での直接フリーキック。「若干ニアのところが空いていたので、下も濡れていたので落とすボールを蹴ろうと思い、GKが弾いてこぼれを誰かが押し込んでくれれば」というFKは、壁に入った横浜の選手に当たってコースが変わり、杉本の頭上を越えてゴールへ。茂木はチームメイトにもみくちゃにされ祝福を受けた。
 

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