「仙台はナオくんが支えている」石原直樹の妥協なき要求は“そこにメッセージはあるか?”

2018年04月29日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「ひとつのパスでも愛情や質に欠けている」

試合後、チームメイトとコミュニケーションを取る石原。細部までこだわった要求をしているようだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ11節]仙台 2-2 札幌/4月28日/ユアスタ

 以前の『サッカーダイジェスト』誌上での対談(4月19日実施)で、野津田岳人が石原直樹に対してこんなことを言っていた。
「今の仙台の布陣はナオくんが支えている。広島の時には見たことないくらい、ナオくん(石原)が味方に厳しく要求していて、そう思った。このフォーメーションを知っていて教えられる選手だから、いなかったら成り立たない。みんなそう思って、リスペクトしていますよ」

 昨季から採用している3-4-2-1のシステムのもと、ポゼッションスタイルを構築してきた仙台にとって、石原がいかに重要な存在かを感じさせるコメントだ。最前線で起点を作るだけでなく、広島(2012~14年)や浦和(15~16年)所属時代にも同じ布陣で戦っている経験から、どう攻めるべきかを指南しているという。

 対談を行なった際には8試合を消化して、わずか1敗しかしておらず2位につけていた。しかし、9節の磐田戦を0-3で落とすと、10節はC大阪に1-2で負けて連敗。11節の札幌戦も2-2のドローに終わった。
 
 札幌戦は西村拓真がドリブルから右足で得点し、大岩一貴がCKからヘディング弾を決めた。2ゴールを奪ったとはいえ、相手より長い時間ボールを保持しながら、攻めあぐねる展開が目についた。そんな状況に、後半から出場した石原はこう述べている。

「見てて結構チャンスがあって、前半に得点できる展開だった。やっぱり、(プレーの)精度を高めないと。あとは意図あるパスが少ない。『何をしてほしいか』というメッセージとして、(パスを)預ける足にもこだわっていく必要がある。今、これをシュートにもっていってほしいのか、クロスを上げてほしいのか、ワンタッチで(展開して)ほしいのか。ひとつのパスでも愛情や質に欠けている」

 石原が突き詰めるパスの質とは、出し手が送るボールの場所や強弱など、細かいこだわりを持つことによって、いかに受け手に"メッセージ"を送れるかという点に尽きるだろう。ピッチ上の選手たちでその繰り返しを行ない、良いオフェンスが展開できるという。

 冒頭の野津田の石原に対するコメントは、まさにこの厳しい要求のことだろう。広島では3-4-2-1の布陣のもと、主力として12年と13年のJ1優勝に貢献したストライカーは、パスのこだわりの重要性を説いている。チームが苦しい状況に立つ今こそ、改めてエースを旗手として、攻撃の改善を図りたい。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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